カラシナは、野菜の一種である。 画像出典:池袋の百貨店にて筆者撮影。 科名:アブラナ科アブラナ属 学名:Brassica juncea var. cernua Jorb. et Hem. 原産地:ヨーロッパ 生態:一年草 ヨーロッパが原産の一年草で、わが国にはすでに遅くとも奈良時代に渡来し、香辛料として利用されていた。普通畑に栽培されるが、現在は道端や堤防に野生することもある。とはいえ、道端に野生しているものの多くはセイヨウカラシナという植物で、こちらはわが国には明治時代に渡来し、帰化植物として知られる。 草丈は1m~1.5mに達し、葉は不規則な羽状に分裂し、ダイコンの葉に似た形状である。園芸品種には葉が深く切れ込んで細くなるリアスカラシナ(後述)というものがある。 春に扁平な十字型の花を咲かせ、晩春に莢状の果実をつける。葉や茎は、漬け物やお浸し、油炒めなどに利用される。種子は練りからしの材料にされ、おでんやあんかけ焼きそばの薬味となる。 よく知られた近縁種に中国原産の大心菜(ダイシンサイ)(搾菜(ザーサイ))があり、これは茎の根元のふくらみ部分を発酵させた漬物として食す。コリコリとした食感が人気である。中国からの輸入が多いが、わが国の関東地方でも栽培される。また、漬物で高名な高菜もカラシナの近縁種であるが、そちらの解説は別項に譲ることとする。
画像出典:大心菜(ダイシンサイ)(搾菜(ザーサイ))。(左)池袋の百貨店にて筆者撮影。(右)夢の島熱帯植物館にて筆者撮影
画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 アブラナ(Brassica campestris)とクロガラシ(Brassica nigra)との種間交雑種で、わが国には明治時代になって再び野菜として渡来した原種が逸出して路傍に生息するようになったもので、植物学上はわが国の在来のカラシナと同種である。このため、こちらも「カラシナ」の名称で呼ばれることがしばしばである。葉は楕円形で、羽状に分裂しまばらな鋸歯を持っており、基部で茎を抱かない。 葉を野菜として食すほか、種子を練りからしとする。
上記の記述を参照。
画像出典:大学の庭園にて筆者撮影 葉が深く切れ込む品種で、分けつが旺盛な品種。葉色が鮮やかな緑色をしているものと、写真のように紫色になるものがある。漬け物やおひたし、サラダ等に向く。草丈10㎝内外の若い苗をベビーリーフとして利用することも。
葉は幅広の形状で、縁が細かく縮れていて、見た目はリーフレタスに似ている。薄く柔らかい材質で、ピリッとした弱い辛味があり、肉料理の付け合せやサンドイッチの具に適する。 色違いの紫色の品種である「レッドマスタード」も同じように利用できる。
画像出典:(左)自宅近くの農産物直売所にて撮影/(右)夢の島熱帯植物館にて撮影 葉に疎らな切れ込みがあるカラシナの一種で、さっぱりした辛味がある。生食に向く。
画像出典:自宅近くのスーパーマーケットにて撮影 4~5㎏もの大きな株から出てくる脇芽を収穫して食する珍しい品種である。平成時代になって福岡県で作出された新顔野菜で、晩冬~早春(1月下旬~3月上旬)にしか出回らない。コリコリとした食感とピリッとした風味があり、火のとおりが早いので調理し易く、火が通ると鮮やかな緑色に変色する。「蕾菜」の名称は商標登録されているので、本種の商業栽培は福岡県でしか許可されていない。ただし、「子宝菜」や「四川児菜」「祝蕾」などの名義で販売されているものであれば、家庭菜園用として福岡県以外の地域でも可能である。
中国で栽培される品種で、葉は深く切れ込み、ミズナに似た見た目をしている。雪裡紅(セリフォン)と系統が近い品種である。前述のリアスカラシナとの関連性は不明。
画像出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Brassica_juncea 著作者:Cs california(CC BY 4.0) 中国で栽培される品種で、葉は浅く枝分かれした形状である。耐寒性に優れる。わが国には戦前に導入されたが、現在は家庭菜園で栽培される程度である。
画像出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Brassica_juncea 著作者:Jim Conrad(Public domain) 葉が細かく切れ込んでしわがあり、縮れたようになる品種。甘みがあり、サラダ菜として食する。
画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Naturalis_Biodiversity_Center_-_L.2096787_-_Anoniem_-_Brassica_napiformis_-_Artwork.jpeg 著作者:Unknown,Creative Commons Zero, Public Domain Dedication 中国北部原産の品種。根がカブのように肥大し、これを食用ないしは飼料用にする。