モモ(桃)は、バラ科の落葉高木である。
果実を生食用や缶詰とするために栽培される。我が国には弥生時代に中国から渡来した。我が国のモモの最古の記録は「古事記」「日本書紀」に見られる。 当時は甘みも薄く、果実もそれほど大きいものではなかった。どちらかといえば、喉の乾きを癒やすためのスポーツドリンク的な役割を果たしたと思われる。明治時代に中国の優良な品種が導入されて改良され、現在のように甘みの強い品種の原型が出来上がってきたという。 果実の表面には産毛があり、これが虫による食害を防ぐとされるのだが、皮膚の弱い人はこのモモの毛にかぶれるという。 果皮が白色に近いものは白桃と呼ばれ、モモの中でも高級品である。缶詰に使われる桃は果肉や果皮が黄色いものが多く、これらは黄桃と呼ばれる。近年は生食に向く黄色い品種もある。
薄いピンク色の花を観賞用にするため栽培する。3月が花期で、菊桃などの多くの園芸品種が作出されている。ハナモモの品種はあくまでも観賞用として栽培されるため、果実はつけないか、つけることはあっても多くは小さくて固く、味も悪いので食用にはしない。
現在ではネクタリンの名で呼ばれることのほうが多い。通常、モモの果実の表面には細かな産毛があるのだが、本種にはそれがなく、表面に光沢を生ずる。これが油を塗られたように見えることから、アブラモモの名前で呼ばれることもある。モモと同じように、果実を生食する。江戸時代の植物図鑑「本草図譜」にはすでに図版と解説が見られる。 ーーーーーー 全ての画像の出典:有用植物図説(東京大学総合図書館所蔵)