セルリーとは、西洋野菜の一種である。 画像出典:東京薬科大学薬用植物園にて筆者撮影 科名:セリ科セロリ属 学名:Apium graveolens var. dulce 原産地:ヨーロッパ~インド 生態:一年草 ヨーロッパからインドが原産の一年草で、現在は野菜として世界中で栽培される。茎は直立し、草丈は60㎝に達する。葉は羽状複葉で、根生葉は長い柄を持っている。夏から秋に白い小さな唐傘状の花を咲かせ、秋に蒴果を結ぶ。 主に葉柄を野菜としてスープやサラダにして食用にする。現在はセルリーないしはセロリの名称で流通するが、前者の方が英語圏での発音に最も近い。 我が国には桃山時代後期から江戸時代後期に渡来し、ヨーロッパ、とくにオランダから持ち込まれた草で、三つ葉のような香りがあるので「オランダミツバ」と呼ばれた。また、朝鮮出兵の折に、加藤清正が日本に持ち帰ったという異説があり、清正ニンジンの別名もある。 ブーケガルニの材料としても知られ、西洋料理には欠かせない香味野菜なのだが、セルリーを大量に食した人が日焼けサロンに行き、ひどい日焼けを起こした例がある。また、セルリー農家が出荷の際に腐った部分に触れてしまい、ひどい皮膚炎を起こした例もある。これは、セリ科植物に含まれるフロクマリンという成分によるもので、特に本種の茎の腐った部分に含まれる。ただ、セルリーだけを大量に食べなければ問題はないし、作業の一環で腐ったところに触る場合はゴム手袋を着用していればほぼ危険はない。触った後も、しっかり手洗いをすれば問題はない。
画像出典:https://botanic.jp/plants-sa/celeri.htm 「ボタニックガーデン」の「セルリアック」のページから。 北アフリカ、シベリア、西南アジア、北アメリカで栽培されるセルリーの近縁種で、茎や葉の形状や高さがセルリーに非常によく似ている。ただし、葉や茎は香りがよいが硬くて食用には適さないので、球状の胚軸を利用する。煮ると蕪や芋のようなほっくりとした食感が出るので、煮込み料理にされることが多い。わが国には明治時代に渡来したが、特有の風味があって和食への応用が利かせにくかったためか、あまり普及しておらず、百貨店に時折出回る程度である。胚軸の形状や性質から「蕪三つ葉」「根セロリ」の和名がある。
画像出典:https://botanic.jp/plants-sa/soupce.htm 「ボタニックガーデン」の「スープセロリ」のページから。 中国種のセルリーで、原種に最も近い品種であるとされる。草丈は30㎝~100㎝となり、初夏に白色の複数形の花序を出して白い花を咲かせる。サラダやスープ、肉のにおい消しや中華料理の具材に用いられる。西洋料理でも人気の食材で、「スープセロリ」の英名もある。基本種のセルリーは家庭菜園では栽培や管理がやや難しいので、まずは芹菜(「ミニセロリ」の名称で種苗が流通する)を栽培して、ある程度コツをつかんでからセルリーを栽培するとよい。こちらはわりと人口に膾炙しているので、それなりの広さがあるスーパーマーケットに行けば購入することができる。