ウチワサボテンは、園芸植物の一種である。 画像出典:夢の島熱帯植物館にて筆者撮影 科名:サボテン科ウチワサボテン属 学名:Opuntia ficus-indica 原産地:メキシコ 生態:多年草 メキシコが原産の多年草で、わが国には江戸時代に渡来し、現在は温室や露地で栽培され、観葉植物の中でも人気の高い品種となっている。茎は高さ2m内外で、多数分岐し、茎の節は最大で30㎝ほどになる。表面に1本から2本の棘があり、基部に接した長い毛がある。葉は小さな針状で、この棘は葉が変化したもので、過度な水分蒸発を防ぐための工夫なのである。 夏に黄色の花を咲かせ、直径は7㎝~10㎝である。果実は洋ナシ型で赤紫色に熟し、「カクタスペア」あるいは現地名の「トゥーナ(tuná)」の名称で呼ばれ、果物として食用にする。また、棘が少ないかあるいはほとんどない品種は茎の表面を軽く削ぎ、棘をとってから焼いて食す。茎には咳止めや解熱の効果があるとされ、トゲをそいでからすりおろしたものを1回につき10gほど服用する。最近は、糖尿病などの生活習慣病にも効果があるとされる。 和名のサボテンは、古くは油汚れを用いるために茎を用いていたが、その際に茎から出た汁がシャボン、いわゆる石鹸のようであったため、シャボンテイ→サンホテイ→サボテンと転訛した。
画像出典:上下いずれも福岡市植物園にて筆者撮影。(上)金烏帽子。(下)白桃扇(はくとうせん)。 学名:Opuntia microdasys ウチワサボテンの代表的品種。棘は短く、黄色である。全長は10mほどであるが、鉢植えの園芸植物として流通する場合は10cm内外である。変種の白桃扇は、棘が白色。両者とも見た目がかわいらしく栽培も容易なのでサボテン類の中でもよく流通するが、不用意にトゲの部分に触ると、トゲが取れて刺さり、トゲの刺さった部分の皮膚がしこりのようになることがある。