オモチャカボチャ(玩具南瓜)とは、園芸植物の一種である。 画像出典:花の写真撮影は青木繁伸(群馬県前橋市)。果実の写真はいずれも自宅にて筆者撮影 科名:ウリ科カボチャ属 学名:Cucurbita pepo var.ovifera 原産地:北米南部 生態:つる性一年草 別名:コナタウリ、カザリトウナス、カザリウリ ペポカボチャの変種で、北米南部が原産の蔓性一年草である。わが国には明治時代に渡来し、現在は園芸植物として庭に栽培されるほか、お盆のお供えやハロウィン・クリスマス向けのフラワーアレンジメントの素材として用いる。 春に種子をまき、蔓をオベリスクや支柱に這わせるほか、食用種のカボチャと同様に地面に這わせることもある。食用種の場合、果実の味をよくするために「摘心」を行うことがあるが、本種は摘心せず放任でも果実がよく実る。 草姿や花、種子の形状などは食用種のカボチャとよく似ているが、葉や花弁の先端がとがり、かつ蔓の棘が鋭いのが特徴である。また、果梗はニホンカボチャのそれと同じく熟せば木質化するが、ニホンカボチャの果梗が熟すと褐色になり、果実と接する部分が広がって「座」を作るのに対し、本種の果梗の果実と接する部分はあまり広がらず、果梗の色も褐色ないしは深緑色である。深緑色のものは一見すると熟しているとはわからないが、触ってみてコチコチに乾いていれば熟しているとわかる。 果実の形状は様々で、オーソドックスなカボチャ型をしたものやひょうたん型、星形や丸型、卵型など多彩で、表面は平滑であるか、程度の差はあれどごつごつとしたこぶ状突起を有するものもある。果実の色合いも橙色や黄色、深緑色や黄緑色、白色など多彩で、単色のものもあれば果実上部が黄色で下部が緑色のツートンカラーのものやスイカのように縞模様が入るものもある。 果肉は繊維質でぱさぱさしており、味もよくないため食用にはしない。食用の品種で見た目が面白いものが「オモチャカボチャ」として出回ることがあるが、その名義で売られているものは、花卉農家が花卉用の農薬を用いて栽培したものである。食用の農産物と花卉とでは農薬の基準値が異なるので、試食しない方が賢明である。果皮が食用種に比べて非常に硬いので(このため、古くは「コナタウリ」の名称でも呼ばれた)、冬まで保存することができ、条件がそろえば年を越すこともあるが、低温に遭うと腐り始める。よく熟したものであれば、数日に1回、果実表面を乾いた布で磨くとヒョウタンのように果皮が硬くなり、「ドライフラワー」状態となる。果皮が硬くなったものは時間がたつと果皮色が褪せてくる。また、表面にはカビが点状に生えることがあるが、そうした場合はたわしかやすりで磨くとカビの蔓延を防ぐことができる。