ベニバナとは、染料植物の一種である。 画像出典:いずれも東京都薬用植物園にて筆者撮影
エジプトが原産の一年草で、わが国には弥生時代にシルクロードを経由して渡来し、末摘花の名称で染料植物として栽培してきた。江戸時代には現在の山形県最上地方や埼玉県桶川市、上尾市周辺で栽培が盛んで、米沢藩が紅花の買い上げを行い、花を乾燥させたのち、水を含ませて丸い形に固めた「紅餅」に加工して上方に送っていたという。 草丈は1mほどで、葉は長楕円形から広披針形で鋭い鋸歯がある。6月から7月にかけて、頭花を咲かせる。花の色は当初は黄色ないしは山吹色だが、次第に赤色実が濃くなっていき、枯れるころにはほとんど真っ赤になる。 我が国では江戸時代までは重要な商品作物であったが、明治時代には中国から安価な紅花が輸入されるようになり、現在は観光用や地場産業用に栽培される程度となっている。 染料としてのみならず、乾燥させた花を「紅花(コウカ)」と呼び、血行促進作用があるとされる。 また、果実から油をとり、若い葉を野菜として食す。