バショウは、園芸植物の一種である。 画像出典:筆者撮影(小石川植物園) 科名:バショウ科バショウ属 学名:Musa basjoo 原産地:中国? 生態:多年草 中国原産の多年草で、バナナの近縁種である。しかし、原産地に関しては異説もあり、中国では沖縄県が原産地であるとしている。英語圏ではJapanese bananaの名称で知られる。かの元禄期の俳人・松尾芭蕉の「芭蕉」は、弟子が自邸に本種の苗を植えたことによるペンネームである(それ以前は「桃青(とうせい)」と名乗っていた)。 観賞用として中間地や暖地で栽培する多年草である。根茎が塊のようになり、次世代の根茎が束生する。根茎から直立する茎のような部分は「偽茎」と呼ばれるもので、重なりあう長い葉鞘が一つの茎のようになり、丈が5m、直径20㎝ほどの木の幹のように見える。このため、本種をはじめとするバナナの類は樹木であると誤解されやすい。しかし、一切木質化しないので、草の類であるとわかる。 若い葉は巻いて出て直立するが、開くと四方に広がり、長いものは2mほどになる。晩夏から秋にかけて、葉がずたずたに切られたようになって次第に枯れていく様子は「破(や)れ芭蕉」と呼ばれ、画題や俳句の季語となっている。 夏にバナナとよく似た紫色の花を咲かせ、花序が偽茎から出て下垂し、基部に雄花、先端に雌花がつく。果実はバナナと異なりそれほど湾曲せず、小刀のような形状で成人男性の親指ほどの大きさである。繊維質であるため、甘みこそあるものの、食用には適さないという。 沖縄では、本種の葉鞘から採取した繊維を「芭蕉布」と呼ばれる布の原料に用いる。薬用植物としても知られ、根茎には清熱・止渇・利尿作用があり、葉には解熱・利尿作用があり、葉の汁は止血作用があるという。