ナガイモは、根菜の一種である。 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:ヤマノイモ科ヤマノイモ属 学名: Dioscorea batatas 原産地:中国 生態:蔓性多年草 中国が原産であるとされ、わが国には江戸時代以前に渡来しており、江戸時代初期の百科事典「大和本草」にはすでに名が出ている。 ヤマノイモとは異なり、普通は畑で栽培されるが、繁殖力が強いためか、現在は山野に生息していることもあるらしい。 雌雄異株で、葉は長心臓形で葉柄が長く、対生あるいは3輪生する。夏に葉腋に穂状花序をつけ、小さな白い花を咲かせたのち、秋ごろに蒴果をつけ、蒴果が割れて種子が飛び出すのだが、この種子は周囲に翼のようなものがあるグライダー状になっている。この種子は容易に風に乗って飛ぶため、風に乗って山野の土壌に落下し、そこで根付いて芽吹き、生息するのであろう。 根茎は先端にかけてやや太くなる円柱形で、ヤマノイモと比較してあまり粘性がない。すりおろしてとろろにしたのち、麦飯やそば、うどんにかけて食すほか、練り物のつなぎにする。秋から冬に葉腋に小さな黒褐色のムカゴをつけ、このムカゴも食用にすることができ、甘露煮や炊き込みご飯にされる。このムカゴを土中に埋め、成長させて種イモにしてから栽培することもできる。
画像出典:筆者の蔵書「原色図説植物大辞典」(1938年)より抜粋。 ナガイモの栽培品種で、塊根はこぶしを握ったような形状をしており、直径は21㎝~24㎝で、質は緻密で、粘り気が多い。 とろろにして食用にする。 奈良県で古くから栽培されてきたため、「ヤマトイモ」の名称でも呼ばれる。また、塊根の形状から、「仏掌イモ」とも呼ばれる。