クチナシは、樹木の一種である。
画像出典:花は自宅近くにて撮影、果実は牧野記念庭園にて撮影 科名:アカネ科クチナシ属 学名:Gardenia jasminoides 原産地:日本・中国 生態:常緑低木 我が国では静岡県以西や四国・九州・琉球などに生息し、朝鮮半島、中国、台湾、インドシナ半島にも広く分布する常緑低木で、わが国には大和朝廷時代に渡来し、利用されてきたとされる。樹高は1m~3mに達し、葉は長さ5㎝~10㎝の卵型で、光沢があって互生する。初夏に白色の6枚の花弁からなる花を咲かせ、八重咲のものもある。秋に風変わりな形状の蒴果をつけ、果実は最初は緑色だが熟すにつれて赤味の強い橙色に変色する。 この果実を干したものが利用され、薬用や食用、着色料に利用できる。色素成分クロシン*1を含むので、天然の食用色素として、栗きんとんや大分県の郷土料理のおこわ・黄飯(おうはん)などの料理や魚肉ソーセージなどの食材、木材や布を黄色く染めるのに用いられる。 また、梔子(さんし)や山梔子(さんしし)の名称で漢方薬としても利用され、消炎、利尿、止血、鎮静、痙攣を抑えるなどの効果があるとされる。また、果実の形状は将棋盤や碁盤の脚の意匠に用いられ、「打つ人は対局中にしゃべってはいけないし、第三者が口出ししてもいけない」、つまり「口無し」の意味が込められている。