オオキンバイザサ(大金梅笹)とは、熱帯植物の一種である。
画像出典:いずれも東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:キンバイザサ科キンバイザサ属 学名:Curculigo capitulata 原産地:熱帯アジア~オーストラリア 生態:多年草 熱帯アジアからオーストラリアにかけての地域が原産の大型の多年草で、熱帯地域では庭園の下草として植えられるほか、熱帯以外の地域では温室で栽培される。 わが国には明治時代に渡来したといわれるが、幕末の本草学者・山本渓愚の著書『本草写生図譜』に乾燥標本でなく生きた植物体の図版がみられることから、渡来時期を幕末とみなすことができる。 茎が目立たず、地面から大きな葉が出ているような見た目である。葉の全長は1m内外、幅が15㎝程の長披針形で、わが国の庭園でしばしばお目にかかるハランの葉を大きくしたような見た目である。 草姿は同属のクルクリゴに似ているが、オオキンバイザサの方が葉が細長くて葉柄の毛がやや多いことと、花序の柄が明らかで首を垂れるようになること、また果実がクルクリゴのそれより丸みを帯びている点で区別する。 夏に根生葉の基部近くにまとまって6枚の花被片からなる黄色い花を咲かせる。おしべは6個あり、葯の部分で合着して、めしべを囲むようになる。 現地では葉から繊維をとり利用する。果実は後述するクルクリゴとは異なり、味がないため利用しない。 曾てはユリ科に分類されていたが、現在はAPG分類によりキンバイザサ科に分類されている。
画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Molineria_latifolia.JPG 著作者:Patrice78500(Public domain) 草姿はオオキンバイザサに似るが、葉がやや丸くなることと、花序の柄があまり目立たないことで区別する。花を咲かせる時期も、花の形状もオオキンバイザサに似ているが、花序の柄は明らかではない。 花の後につける果実は白く熟し、ラッキョウのような形状で、内部に黒い球形の小さな種子がいくつか入っていて、「ネオクリン」と呼ばれる甘味成分が含まれている。 この成分は、それ自身も甘味を示すが、それだけでなく、クルクリゴの果実を食してしばらくは「水を甘く感じさせる作用」をもつ。この効果はしばらく続くので、ダイエットへの効果が期待されるが、本種の果実を食してから酒類を飲むと、甘いジュースを何倍も飲んでいるかのような心地になって何杯も飲んでしまうことがあるから、もしこの果実が手に入って試食する機会ができた場合には、酒を飲む前には食さない方が賢明である。