春望とは、中国の唐代(盛唐)の詩人・杜甫が757年の春に、戦乱で荒廃した都の長安で詠んだ漢詩。五言絶句。 我が国で最も知名度の高い漢詩である。
この漢詩は、755年から763年にかけて発生した安史の乱*1で荒廃した都の長安に、例年通りに春がやって来たが、本来は嬉しいはずの春の到来が、杜甫にとっては戦禍の国家を憂える心情や家族と離れての生活を余儀なくされる辛さなどに結びついているのである。 つまり、戦乱で家族と離散した悲しみを核としつつ、官僚として国の存亡を憂うる社会性も備えた作品になっているのがポイントである。