春望 のバックアップ(No.4)

春望とは、中国の唐代(盛唐)の詩人・杜甫が757年の春に、戦乱で荒廃した都の長安で詠んだ漢詩。五言絶句。
我が国で最も知名度の高い漢詩である。

全文 Edit

  • 首聯
    国破山河在(国破れて山河在り)
    城春草木深(城春にして草木深し)
  • 頷聯
    時感花濺涙(時に感じては花にも涙を(そそ)ぎ)
    恨別鳥驚心(別れを恨んでは鳥にも心を驚かす)
  • 頚聯
    烽火連三月(烽火(ほうか)三月に連なり)
    家書抵万金(家書万金に(あた)る)
  • 尾聯
    白頭掻更短(白頭掻けば更に短く)
    渾欲不勝簪((すべ)(しん)に勝えざらんと欲す)

現代語訳 Edit

  • 首聯
    国は荒廃しても、山や河は元のままである。町は春になり、草木が生い茂っている。
  • 頷聯
    時世を考えて胸がつまり、花を見ると涙がこぼれてくる。別れをつらく思っていると、鳥の鳴き声にすら驚かされてしまう。
  • 頚聯
    戦いののろしは3ヶ月も続き、家族からの手紙は多くの金に匹敵するほどたいへんに貴重なものである。
  • 尾聯
    思い煩って白髪頭を掻きむしると髪はさらに短くなり、髪をかんざしで止めることが全くできそうにないほどにまでになってしまった。

背景 Edit

この漢詩は、755年から763年にかけて発生した安史の乱*1で荒廃した都の長安に、例年通りに春がやって来たが、本来は嬉しいはずの春の到来が、杜甫にとっては戦禍の国家を憂える心情や家族と離れての生活を余儀なくされる辛さなどに結びついているのである。
つまり、戦乱で家族と離散した悲しみを核としつつ、官僚として国の存亡を憂うる社会性も備えた作品になっているのがポイントである。

コメント Edit

  • 国破れて山河あり。文明廃りて苔蔓(こけつる)増える。 -- 2023-06-20 (火) 16:50:19

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*1 唐滅亡の遠因となった戦争で、節度使・安禄山とその盟友である史思明(いずれもソグド人)が起こした

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