ビャクブとは、薬草の一種である。 画像出典:筆者撮影(小石川植物園)
中国が原産のつる性多年草で、わが国には徳川時代中期に渡来し、現在は薬用として栽培される。 根茎は短小で、イモのように紡錘状に肥大した根が集まる。茎は当初直立し、先端が多物に巻き付く。このため、ツルビャクブ(蔓百部)の名称もある。 葉は6㎝程度で、5行の脈があり、3,4枚が輪生する。初夏に花を咲かせ、花柄が葉柄と癒着し、一見すると葉の上に花を咲かせるように見えるのが特徴である。 根は寄生虫駆除の薬として用いられるほか、「しらみ紐」と称して虱除けに利用するなど、殺虫剤としての利用もある。近縁種のナベワリは有毒であるから間違えて服用してはならぬ。これは嘗めると舌が割れるような激痛が走る故「嘗め割り」と呼ばれたものが転訛したものである。詳細はナベワリを参考とすべし。 現在は、「利休草」の名で観賞用として花屋で販売されることがある。おそらく、葉の緑色を桃山時代の茶人・千利休に絡めた名称であろう。