ヒラナスとは、園芸植物の一種である。 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:ナス科ナス属 学名:Solanum intergrifollium 生態:多年草 原産地:アフリカ アフリカ原産の多年草で、わが国には明治初期に小石川植物園で標本的に栽培されたのが始まりである。幕末から明治時代にかけての絵師・服部雪斎や、同じく幕末から明治時代の庄内藩家老で、博物学者としても著作を複数残した松森胤保により描かれた本種の植物画が残されている。植物の性質上は多年草だが、わが国では冬の低温に耐えきれず枯死するので、1年草の扱いである。 茎や枝は紫色で、食用のナスと草姿は非常によく似ている。葉は楕円形で、縁は波状に凹凸があり、先端部がとがって基部では葉柄に互生している。 6月から11月にかけて、5枚の花弁からなる純白ないしは紫色の星形の花を咲かせ、中心部に黄色い突起を持つ。花の後に、直径2cmから3㎝の偏球形の果実をつける。 果実は最初は薄い黄色だが、熟すにつれてつやが出てきて赤くなる。果実の形状は縦溝が入り、小さなかぼちゃに似た形状なので、「ソラナム・パンプキン」という園芸名でも流通する。 果実は少ないながらもソラニンを含んでおり、味も悪いので食用にはしない。秋になると乾燥させた枝つきの果実や鉢植えが、おもちゃかぼちゃとともに花屋で出回り、秋のフラワーアレンジメントには欠かせない。 現在は帰化植物として野生化している例も知られている。なお、「あかなす」と呼ばれることもあるが、これはトマトの別名でもある。 性質が強じんなので、ナスやトマトなどの病害虫への耐性が弱いナス科野菜の苗の台木にすることもできる。