バッカクキン のバックアップ(No.4)

バッカクキンとは、ライムギなどのイネ科植物に寄生する菌類の一種。いわゆる有毒なカビの一種である。
LSDの原料としても知られる。
科名:バッカクキン科バッカクキン属
学名:Claviceps purplea
生態:子嚢菌類


ライムギやオオムギ、コムギなどのイネ科やカヤツリグサ科の植物の花に寄生する。これに寄生されると、黒いバナナ型の菌核が形成される。この黒い菌核を角に見立ててバッカク(麦角)という。
これには麦角アルカロイドという特有の毒素を含み、循環器系や神経系に作用する。この菌の中毒症状としては、手足に焼けるような痛みが生じ、ひどい場合には壊死することが挙げられる。これ以外にも幻覚や意識不明、けいれん、さらに悲惨な例では流産などの症状をも引き起こす。特に、幻覚成分を引き起こすという点から麦角成分の研究がすすめられ、その過程においてLSDが精製された
中世ヨーロッパでは麦角中毒が相次ぎ、焼かれるような痛みと手足の壊死という症状から「聖アントニウスの火」と呼ばれていた。これは、数々の苦難を乗り越えた聖アントニウスの力にすがれば必ず症状が治ると信じられていたからである。現在の科学的観点から見れば、それはおそらく転地療養のようなものであったろう。
戦前には岩手県で女性の流産が相次いだ事件があった。原因は、笹の実を粉にひいて作ったパンが原因だった。この中に、笹に寄生していた麦角が混じっていたのだ。これは、食料不足や麦角に対する知識の不足が招いた悲劇である。これまで日本人の主食であったイネにバッカクキンの寄生の例がなく、麦角に関する知識が不足していたのも無理からぬ話ではあるが。
現在はライムギを収穫後に塩水で消毒して殺菌しているため、麦角中毒が根絶されたわけではないものの、報告件数は激減している。
余談だが、バッカクキンによる中毒事故の報告は紀元前600年ごろのアッシリアの粘土板にも刻まれており、人類が太古の昔からこの菌と闘ってきたことを知らしめている。

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