チュウゴクナシとは、果樹の一種である。古い書籍では「シナナシ(支那梨)」と呼ばれていることがあるが、「シナ」の名称が差別的とされる現在ではこの名称では記載されることはなくなっている。 画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nashi.jpg 科名:バラ科ナシ属 学名:Pyrus ussuriensis var. culta( P. bretschneideri) 原産地:中国 生態:落葉高木 華北に自生する北支山梨(ほくしやまなし)(P. ussuriensis var. ussuriensis)と杜梨(とり)(マンシュウマメナシ、P. betulifolia)との種間雑種であるとされる。 わが国には明治初期に導入されたものの、現在では北海道、青森県、長野県、岡山県のごく一部の地域で栽培されている。果皮色は黄色ないしは黄緑色である。果実の形状はセイヨウナシに近い瓶型のものと、ニホンナシに近い球形のものがあり、食感はニホンナシのようにシャリシャリとしている。これは、アジア系のナシは果肉に石細胞が多く含まれているためである。 市場に多く出回るのはセイヨウナシに近い瓶型のもので、鴨梨(ヤーリー)や慈梨(ツーリー)などがその代表である。丸型の品種は、紅梨(ホンリー)と呼ばれるもので、果皮は黄色だが、紅色が差し、リンゴに似た見た目である。 普通生食されるが、ジャムやコンポートにされることもある。また、花は「梨花」の呼び名で広く観賞用にされ、中国では「美人」の形容詞的な植物であった。古代の日本でもナシの花は観賞用にされており、「万葉集」や「枕草子」にもナシを詠んだ歌がある。