シソは、香味野菜の一種である。 画像出典:筆者撮影(東京都薬用植物園)/筆者撮影(池袋にて撮影)
わが国には縄文時代に渡来したとされ、民間で野菜として食されてはいたが、本格的な野菜としての栽培は平安時代に始まったとされる。一年草で、茎は四角形でまっすぐ立ち、50㎝~1mほどになる。葉は卵型で先端がシャープにとがり、縁が粗い鋸歯を持つ。畑で栽培されることが多いが、現在は野生化したものが路傍の片隅にみられることがある。また、こぼれ種で繁殖することもある。 芳香のある葉は、漢字表記で「紫蘇」とあらわされるようにふつう赤紫色だが、変種のアオジソは鮮やかな緑色である。このため、「紫蘇」の対義語として「青蘇(あおそ)」と呼ばれることもある。秋が近づくと総状花序の花を咲かせ、ごく小さな果実を実らせる。 アカジソは葉を梅干しや漬物、ジュースの色づけに用いるほか、花を刺身のつまにする。アオジソは「大葉」と呼んで香味野菜として用いるほか、てんぷらなど油で揚げて食べることもある。また、アカジソもアオジソも新芽をそれぞれ「紫芽(むらめ)」「青芽(あおめ)」と呼称し薬味とするほか、いずれも果穂を佃煮にする。 かつては荏胡麻と比較して、種子が採油用としては全く役に立たぬことから「犬荏(いぬえ)」というありがたくない和名を頂戴したのであるが、シソは葉を香辛料にする面で特化した優れものであると言えよう。