キカラスウリ(黄烏瓜)は、野草の一種である。 画像出典: (上)自宅近くにて筆者撮影。撮影後に定期的な除草作業で刈り取られてしまったのか、とうとう果実を見ることはなかった。 (下)東京都千代田区四ツ谷にて撮影。冬枯れの果実で、やや干からびかかっていた。 科名:ウリ科カラスウリ属 学名:Trichosanthes kirilowii var. japonica 原産地:東アジア 生態:多年草 わが国の各地(北海道から奄美大島)に分布する多年草である。藪や荒れ地などに生え、茎は蔓状になり、巻きひげで他物に絡みつく。 葉は広心形で浅く3つから7つに掌状に裂け、全体的な草姿はカラスウリに似るが、カラスウリは葉の表面に短毛があり、本種は短毛がなく光沢があるので容易に区別することができる。 雌雄異株で、7月から9月ごろに雄株は葉腋から総状花序を出して白色の花を咲かせ、また雌株は単独に白色の花を咲かせる。花弁は5裂し、レース状に切れ込むが、カラスウリと異なり、切れ込みはやや浅くなっている。9月末から12月にかけてマクワウリを思わせるような楕円形の液果をつける。この果実は直径4㎝ほどにまで成長する。食用にすることができ、まだ未熟な緑色のうちは漬物にして食し、黄色く熟してからは生食する。熟果はカラスウリと異なり、柿やスイカを思わせるような甘みがある。ただ、熟しすぎたものはやや発酵して舌がややピリピリすることがある。根のでん粉からは天瓜粉と呼ばれる粉が取れ、この粉は汗疹や日焼けに用いる。いわゆるベビーパウダーである。 岡山県の民話「夫婦岩(みょうといわ)」には「山瓜」という食べ物が登場するが、おそらくは本種の果実を指すと思われる。