イチゴノキとは、果樹の一種である。 [添付] 画像出典:埼玉県所沢市にて筆者撮影 科名:ツツジ科イチゴノキ属 学名:Arbutus unedo 原産地:南ヨーロッパ・アイルランド 生態:常緑高木 ヨーロッパ南部やアイルランドが原産の常緑樹で、わが国への正式な渡来時期は不明で、ごく最近までわが国ではそれほどなじみがあるとは言えない種であったが、近年は樹製が小ぶりの矮性の品種が園芸店で流通している。 樹高は5mから12mで、こんもりとした樹冠を持つ。楕円形の葉は濃い緑色で縁には密に鋸歯があり、表面には光沢が出る。 秋に円錐花序を生成し、10個から30個ほどの直径4㎜程の小さな釣り鐘型の花を下垂するようにして咲かせる。花には甘い芳香があり、花の形状は属こそ異なるものの、アセビのそれによく似ている。 受粉から5か月後に果実をつけ、果実が熟すのに1年ほどの時間を要するため、そのころに花が咲くのである。果実はいわゆる漿果(ベリー)で、初めは黄色だが熟すと鮮やかな赤色に熟し、表面がざらざらしていて一見するとヤマモモや小型のレイシ(Lychee)に似ている。 果実は果物として食用にされ、モモやマンゴーに似た風味をわずかに持つが、ほとんど味がないも同然で、おまけに食感がぼそぼそしているものだから今一つ人気はない。実際、種小名のunedoは、古代ローマの本草学者・大プリニウスの"unum tantum edo"(私は一度だけ食べた=もう一度食べる気はない)という言葉から来ているという。ただし、熟しすぎてぶよぶよになると味がよくなるともいわれ、イベリア半島ではこの熟しすぎた果実をジャムにして食すという。