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ユウガオ のバックアップ(No.33)
ユウガオ(夕顔、瓠子、扁蒲)とは、ウリ科のつる性一年草植物である。 画像出典:果実、花のいずれも東京都薬用植物園にて撮影 概要
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| 区分 | 被子植物(双子葉類、つる性一年草) |
| 科属 | ウリ科ユウガオ属 |
| 学名 | Lagenaria siceraria var. hispida |
| 原産地 | インドもしくは北アフリカ |
| 英名 | Bottle gourd |
我が国への正式な渡来時期は特定が難しいが、『源氏物語』にこの名前の女性が登場することから、平安時代にはすでに日本にあったものとされている。当時は熟果の中身を抜いて乾燥させ、容器とするため栽培せられたものである。我が国では滋賀県水口と栃木県で多く栽培されており、水口での栽培は豊臣秀吉がこれを奨励したと伝わっている。栃木県での大規模な栽培は徳川時代中期に始まったものとされる。
元々ヒョウタンとは原種を同じくする植物であるが、栽培を重ねるにつれ、突然変異を起こしてヒョウタンの苦みが少なくなったものがユウガオであるとされる。それゆえ中国では、ヒョウタンを「
草姿はカボチャに似るが、植物体全体に柔らかく白い産毛があり、夏になると直径8cmの白い花を咲かせる。ヒョウタンやユウガオの花は他のウリ科植物とは異なり、夕方から花を咲かせ始め、受粉は蛾などの夜行性の昆虫によっておこなわれる。この夜に花を咲かせる性質から、古くは
アサガオに似た漏斗状の純白の花を咲かせる植物が園芸店などで「ユウガオ」の名称で流通することがあるが、その植物の植物学上の正式な名称は「ヨルガオ」であって、それはヒルガオ科ヨルガオ属に属する全くの別種で、用途は花を観賞用にするか、まれに若い蔓や葉を野菜として食すのみである。果実も紫色の朔果で、アサガオのそれを一回り大きくしたほどにすぎぬ。我が国には明治時代に渡来している。
果実の長いナガユウガオ(写真上)と果実の丸いマルユウガオ(var.depressa)があり、ナガユウガオは日本各地で利用され、トウガンのように煮て食べたりみそ汁の具材にしたりすることが多いが、まれに漬物にもする。イタリアではククザ(Cucuza, Lagenaria siceraria var. longissima)というナガユウガオの変種にあたる野菜が栽培されている。これは、全長50㎝程にもなる果実をつけ、若い果実をズッキーニのようにパスタやサラダなどの具として利用する。

画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Iozucchine.jpg
著作権:Recondito(CC BY-SA 3.0) イタリアで栽培されるCucuzza。画像のように、わが国のナガユウガオよりひょろ長い果実を実らせる。
マルユウガオの果実、東京薬科大学薬用植物園にて筆者撮影。
マルユウガオは「フクベ」(瓢)とも呼ばれ、多くは巨大な鉋のような器具で薄く剥いて干す
果実が熟して固くなると、ヒョウタンのように中身を腐らせて抜き、乾燥させて楽器や炭入れに加工される。ナガユウガオの熟したものも中身を腐らせて抜き、乾燥させてから置物や花器に用いる。南アフリカの「ギロ」という楽器は、乾燥させたナガユウガオの果実の横に溝を彫って作られ、その溝を棒でこすって独特の音を出す。
夏の食材として有名なユウガオだが、過去にユウガオによるククルビタシン中毒事故が数件報告されており*1、味見をして強い苦味や舌が若干しびれる感覚を感じた場合はすぐに廃棄し、その苦味を我慢して食べることがないよう気をつけたい。
また、性質が強健なことを利用して、スイカやキュウリ、マクワウリなどあまり病害虫に強くないウリ科野菜の苗の台木とすることもある。ただし、栽培中にユウガオの葉が出てきたら、台木のユウガオに養分を吸収される前に早めに摘み取るべきである。放っておくとユウガオの果実が実るが、台木用のユウガオは食用を前提とはしていないため、強い苦みを持つ場合もあり、できれば食べないほうがよい。
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