ビンロウ(檳榔)とは、ヤシ類の一種である。 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:ヤシ科ビンロウジュ属 学名:Areca catechu L. 原産地:マレー地方 生態:常緑高木 マレー地方が原産の常緑高木で、わが国では1720年にオランダ船が長崎に本種を持ち込んでいるのが最古の記録である。普通温室で栽培される。 幹は単一で直立し、枝はなく樹高は4m~10mに達し、基部がやや肥大する。葉は羽状複葉で、長さは1m~2m、頂上に集まる。葉柄は短く、平滑な葉鞘となる。花序は葉鞘の最下の腋から現れ、長さ50㎝~70㎝で枝分かれする。 花の基部に大型の雌花を多数つけ、その先端に小型の雄花を多数つける。花の後には長さ3㎝ほどの橙色ないしは緑色の楕円形の果実をつけ、果実内部には1つの大きな種子が入る。 東南アジアや熱帯アフリカの熱帯地方では本種の果実に切り込みを入れ、そこに練った石灰を挟み、キンマの葉で包んでから口に入れ、くちゃくちゃと噛む習慣が存在する。これが「ベテル・チューイング」と呼ばれるもので、ある種の陶酔感と爽快感が得られるという。この作用で唾液が真っ赤になり、これを道路に吐き出すと、道路に真っ赤なシミが付着するというわけである。特に法規制されているということはないが、ある種のドラッグというべきものであり、習慣性がある。 また、若い芽を野菜として食用にすることもある。