ヒラタケ のバックアップ(No.3)

ヒラタケとは、食用きのこの一種である。
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画像出典:村越三千男著『内外植物原色大図鑑』より抜粋。


科名:ヒラタケ科ヒラタケ属
学名:Pleurotus ostreatus
原産地:各大陸の温帯・亜寒帯地域
生態:担子菌類


 世界中の温帯の山林に発生するきのこ。広葉樹の枯れ木に生える。ほとんどのきのこが取れなくなる寒い時期にも生育しているため、カンタケ(寒茸)の異名もある。
傘は開いた扇のような形だが、中央がくぼんで漏斗形になることもある。傘の色は初めは黒に近い茶色だが、成長するに従ってだんだん白みを帯び、褐色を帯びた灰色に変色してくる。
カサの一側に片寄るようにして長さ1~4cm,太さ1~2cmの柄をつける。形状には生育環境によって変化が見られ、天然ものや原木に種菌を植え付けて栽培したものは毒きのこのツキヨタケに非常にそっくりな形状になる。一方、おがくずで菌床を作り、瓶で栽培したものはいわゆる典型的なきのこ型になる。
世界各地で食用にされ、食用としての歴史は古く、遺跡調査の結果から、縄文時代からすでに野生のヒラタケを食用にしていたことがわかっている。平安時代や鎌倉時代の書物にもたびたび登場しており、古くから日本人の人口に膾炙し、味覚を唸らせてきた人気のあるきのこであったと言えよう。
 味や香りに特有の癖がないため、味噌汁などの汁物や鍋物、炊き込みご飯や天ぷら、つくだ煮、チャーハン、オムレツ、炒めものなど様々な料理に向く。
かつては本種をおがくずで菌床栽培し、株立ちになったものを「しめじ」という名称で流通させていたが、シメジ科シロタモギタケ属の食菌・ブナシメジの栽培が成功して「シメジ」の名称で流通するようになり、また数十年後に同属の菌根菌のホンシメジの栽培が成功したことで、一時的にヒラタケの生産は下火になったが、近年は野生に近い環境で栽培し、傘が大きい天然ものに見た目を近づけたものを「ヒラタケ」もしくは「カンタケ」という名称で晩秋から初冬にかけて流通している。
 よく似たきのこに、ツキヨタケという毒菌があり、古くから本種とツキヨタケとを取り違えた中毒事故がしばしば発生している。平安時代の「今昔物語集」にはツキヨタケが「ワタリ」という名前で登場し、寺の別当に任命されなかった僧侶が別当職の僧侶をねたみ、別当を家に招いてご馳走を振る舞い、「ワタリ」を食べさせて殺害することで自身が別当に成り代わる計画を企てたが、客人としてまぬかれた別当に、初めからそのたくらみが見抜かれており未遂に終わったという話が収録されている。
一応、見分け方としてはツキヨタケの方は柄の根本に黒いシミがあるがヒラタケにはないことや、夜になるとツキヨタケの方は傘の裏が青緑色に光るのに対し、ヒラタケの傘の裏は光らないことによる。ただ、ツキヨタケの若いものには黒いシミが見られないことや、発光しないこともあるため、やはり図鑑などで両者の特徴をよく勉強してから採取すべきである。極論を言えば、スーパーや直売所で栽培品を買ったほうがいいとも言える。というのも、現在のヒラタケの栽培品は野生のものと品質並びに味にそれほど差は見られないためである。

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