ハマダイコン(浜大根)とは、食用になる野生の植物の一種である。
画像出典:(左)筑波実験植物園にて筆者撮影/(右)小石川植物園にて筆者撮影 科名:アブラナ科ダイコン属 学名:Raphanus sativus var. hortensis f. raphanistroides 原産地:日本? 生態:二年草 我が国の北海道から沖縄にかけて分布し、海浜に生える越年草で、多くの植物図鑑では「栽培されていたダイコンが野生化したものである」とする記述がみられるが、近年はこうした学説に疑問符が打たれている。実際に遺伝子解析を行ったところ、ダイコンとは別系統の種類であるとする報告も出ている。 草丈は50㎝から70㎝程度となり、地上部の葉の様子はいわゆる根生葉で太い葉柄があり、長さ15cm前後、幅4 cmほどで、頂小片と5対ほどの側小片に裂けており、この点は栽培種のダイコンと非常に似ているが、表面には触れるとややチクチクとした痛みを覚えるほどの硬さの毛が生えている点で区別される。 3月から6月にかけて全長30㎝から60㎝の花茎を出し、総状花序に4枚の十字型の花弁からなる花を咲かせる。花弁は白地に薄い紫色が差すが、個体によっては花弁が純白になるものもある。花の後には細長い莢状の果実をつけ、果実はややくびれが出て豆類の莢を思わせるような見た目となる。 若い苗と若い根を山菜として食用にする。若い苗とはいっても栽培種のダイコンより全体的に硬いため、一旦ゆでてから炒め物やおひたし、きんぴらや菜飯に調理する。根は硬いうえに辛みが強すぎるので大根おろしやサラダなどの生食には向かないが、細いものを選んで漬物にする。栽培種のダイコンよりパリッとした食感が楽しめる。島根県で栽培される「出雲おろち大根」は本種を畑で栽培したもので、根の可食部が増え、辛みも幾分か弱まり、すりおろして「大根おろし」として食べることができるようになったものである。若い果実もピリッとした風味があり、食用にすることができる。