タンカン(桶柑)とは、柑橘類の一種である。 写真撮影:青木繁伸(群馬県前橋市) 科名:ミカン科ミカン属 学名:Citrus tankan 原産地:中国 生態:常緑低木 中国の広東省が原産の柑橘類で、スイートオレンジ(キンクネンボ)とポンカン、またはマンダリンオレンジとの自然交雑種ではないかと推測される。 樹高は3m~5mで、4月に枝先に白い5枚の花弁からなる花を咲かせる。果実の収穫は翌年の1月から3月ごろとなり、果実色は黄色味の強い橙色で、真球形に近い。 果肉は柔らかく、果汁が豊富で、甘みが強い。また、芳香があって果皮は手で剥くことができる。熟した果実は生食やジュース、ゼリーやマーマレードにされ、未熟な果実の果皮は刻んで薬味として用いられ、特に鶏飯(けいはん)*1の風味づけに用いられる。 中国南部では最も質の高い柑橘類として好まれ、台湾での栽培も盛んである。わが国には明治中期に導入されたが、当時は果実が小さくてあまり質はよくなかった。大正期になって果実が大きく果肉の質が良い品種が作出された。 中国名や和名の「桶柑」は、かつて中国で行商人が本種の果実を桶に入れて売り歩いていたことによる。