カンラン(橄欖)は、樹木の一種である。 画像出典:小石川植物園にて撮影。 科名:カンラン科カンラン属 学名:Canarium album (Lour.) Raeusch. 原産地:インドシナ半島から中国南部 生態:常緑高木 インドシナ半島から中国南部に生息する常緑高木で、わが国には江戸時代に渡来し、鹿児島県や沖縄県で露地栽培されるほか、各地の植物園の温室で栽培される。「本草図譜」には彩色された図版がみられる。 樹高は10m~20m、条件が良ければ30mに達する。雌雄異株。葉は3~8対の小葉をもつ長さ40~50cmほどの奇数羽状複葉で互生する。 春から夏にかけて葉腋から花序が伸びて円錐花序または総状花序の花序をつけて花を咲かせる。花自体は直径数mmの薄黄色の小さな花だが、結実すると長さ3cm、直径2cmほどの楕円球の形の果実をつけ、緑色から白色に熟す。 この果実は果物として食用にでき、食すと最初は渋みがあるが、徐々に甘みが出てくる。この様子を、言われた時はつらいものがあるが、後から自分の役に立ってくる「諫言」に例えて、古くは中国では諫果と呼ばれた。 食用としてのみならず、未熟果や種子は、のどに刺さった魚の骨を取り除く際によいとされる。このため、「ウオノホネヌキ」(魚の骨抜き)という和名もある。 「マタイ福音書」に出る「橄欖山上の垂訓」に登場するほど歴史の長い植物である。果実の見た目がオリーブに似ていることや、旧約聖書の中国語版の初版で書中の「橄欖山上の垂訓」とは別の章に登場するオリーブに「橄欖」の字を誤って当ててしまったことで、結果として「オリーブ=橄欖」と誤解されてしまったという。わが国では中華料理の食材を取り扱う店で、「中国オリーブ」の名称で果実を水煮あるいはシロップ漬けにしたものの缶詰がまれに出回ることがある。