ヒョウタンとは、有用植物の一種。熟した果実を容器や楽器などに加工して利用する。漢字表記は「瓢箪」。 画像出典:花、果実共にhttps://botanic.jp/plants-ha/hyotan.htm
伝播のルートは定かではないものの、わが国を含む東アジアでは縄文時代後期の農耕の開始時にはすでに栽培が始まっており、福井県の鳥浜貝塚や中国の河姆渡遺跡などから種子や果皮の一部が出土している。 草姿はユウガオに似ており、ハート形の葉や蔓には白い産毛が生え、夜になると白い花を咲かせ、蛾が花粉を媒介する。 果実はふつういわゆる「ひょうたん型」であるが、真球形や楕円形など、形状は多彩。「シャクヒョウタン(杓瓢箪)」や「ツルクビヒョウタン」と呼ばれる鶴首型の品種(画像下)は、種子やワタを除いて乾燥させたのち、二つに割ってワニスを濡れば天然のひしゃくが出来上がる。また、形状はツルクビヒョウタンに似ているが、果実の膨らんだ部分に稜が生じる「ダイナソー・ゴード」(日本名は「恐竜ひょうたん」「恐竜かぼちゃ」)というアメリカ産の品種も愛好家の間では垂涎の品種である。 画像出典:岩崎常正『本草図譜』巻52-54,写. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2550791 (参照 2024-07-28) 表面の色は普通は白っぽい淡緑色だが、鮮やかな緑地に白い斑点が入るものもある。果実が小さいセンナリヒョウタン'Macrocarpa'はヒョウタンのなかでも最も栽培の簡単な品種で、園芸品種として非常に高い人気を誇っている。また、このセンナリヒョウタンより小さな「一寸豆瓢」というものがあり、果実の大きさはラッカセイほどにしかならない。ただし、肥料を多く与えて栽培すると品種の特性が失われ、センナリヒョウタンと同等の大きさになるという。 画像出典:センナリヒョウタン。筆者撮影。 果実は数日水につけて果肉や表面の皮を腐らせて取り除き、乾燥させて容器や楽器、仮面などに加工する。また、収穫した果実を加工せずにそのままインテリアや花材、お盆のお供えにすることもある。 果実にはククルビタシンという有毒成分が含まれており、猛烈な苦味があるため、食用にされない。 変種のユウガオはヒョウタンの苦味が品種改良によって薄れたもので、こちらは野菜として食用にされる。ただし例外的に、ヒョウタンの中にも、若い実を食用にするために品種改良され、形質が固定化された品種がある。「食用一口瓢箪」という品種は、ひょうたん型のごく小さな未熟果を漬物にして食用にする品種である。この品種は成長しても苦み成分が出現しないが、果肉は硬くなって単純に不味であるため、成長してからは普通種のように加工できる。 野菜づくりをする際には、ヒョウタンとユウガオは容易に交雑するため、距離を開けて栽培しなければならない。一見はユウガオだが、中身は苦味が強くて食べられないおかしなユウガオが出来上がってしまうのだ。また、ユウガオもまれに先祖返りの減少を起こして苦みが発生することがあるので、調理の最中に尋常でない苦み(中毒事故を経験した人の話によれば「舌がビリビリと痺れるような苦味」)を感じたらすぐに廃棄すること。 また、種子から栽培する場合は、早く発芽させようと焦って種子を水に絶対につけてはならない。この手順はむしろ発芽を遅くする結果にしかならない。
追記・修正はヒョウタンで出来た容器で水を飲んでからお願い致します。