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メロンは、果実的野菜の一種。果実をデザートとして生食する。 画像出典:花の画像はhttps://commons.wikimedia.org/w/index.php?search=Cucumis+melo&title=Special:MediaSearch&go=%E8%A1%A8%E7%A4%BA&uselang=ja&type=image&haslicense=unrestricted、果実の画像は筆者撮影
南アジアや中近東がルーツであるとされ、野生種が東方に伝播してマクワウリやシロウリに、西方に伝播してメロンになったとされる。 果実は芳香があって甘く、生食する。香りのよさゆえに、古くはジャコウウリ(麝香瓜)と呼称された。大まかに、ネットメロン(アミメロン)とノーネットメロンに分けることができ、わが国では前者を温室やまれに露地で栽培し、後者を露地で栽培する。 茎はつる性で、全体に細かな毛がある。葉は切れ込みの浅い掌型で、直径7㎝~13㎝である。夏に同じ株に雄花と雌花を咲かせ、花色は黄色で、直径2cmほどとなり、キュウリのそれに似ている。 果実の直径は10㎝~15㎝。多くの品種があり、果実を生食やジュースに加工するほか、果実の成長を促すために摘果した若い果実を漬物として食べることもある。果肉の色はオレンジ色と黄緑色、白色で、かつてオレンジ色の品種は独特のにおい(カロテン臭)があってあまり好まれていなかったが、現在は品種改良によりにおいを抑え、甘みを強くした品種が多く出回っている。 また、「生ハムメロン」という食べ方があるが、これは当時甘みに乏しかったメロンを食べるための方法で、塩気による甘みの相乗効果を期待しての食べ方である。わが国でもスイカに塩を振って食べることがあるが、それと似たような効果を持つのである。
イタリアなどヨーロッパにて多く栽培される品種で、果実は球形で縦溝が走り、表皮は緑色ないしはオレンジ色である。一見するとカボチャのような見た目をしている。表面はつるりとしたものや、ごつごつしていてますますカボチャと見まがうような見た目をしたものもある。果肉はオレンジ色である。明治期に伝来したもののほとんど普及せず、これまでわが国ではほとんど見られなかったが、近年は小さな黄色いマスクメロンのような球形の果実をつける「ガリアメロン」の系統が流通している。
画像出典:筆者撮影 果実は球形ないしは楕円形で、果実の表面は網目でおおわれる。これは果実が成長するにつれて表皮が割れ、腐敗や害虫の侵入を防ぐためにできたかさぶたのようなものである。現在「マスクメロン」として流通するのはこの品種である。果肉の色は黄緑色のものと橙色のものがある。かつて橙色のものは特有のにおいがあって嫌われたが、現在は品種改良によりにおいが抑えられている。「夕張メロン」や「イバラキング」「肥後グリーン」など各地のブランドメロンで有名。 また、本来は「温室メロン」といわれるだけあってビニルハウス内での管理が難しく、家庭菜園でもかなり難易度の高い野菜とされるのだが、現在はハンドボールより一回り小さいくらいの大きさの果実をつける「ころたん」「アニバーサリー」などの家庭菜園向けの品種が作出されている。
果実は球形ないしは楕円形で、果皮の表面に網目がなく滑らかなものや、しわが寄ったように見えるものがある。その中でも、スペインで栽培されるPiel de sapo(『ヒキガエルの皮膚』という意味)という名の品種で、果皮がスイカのような縞模様があり、ラグビーボールのような形状になるものが有名である。現在はイギリスで命名された『サンタクロースメロン』という名前でヨーロッパ圏で流通する。 果実は概して大型になり、長期保存が可能であるため「冬メロン」の名称で呼ばれる。 なお、英語圏で「冬メロン」と呼ばれる植物があるのだが、それはいわゆる冬瓜のことで、本種とは属が異なる。混同を避けるため、冬瓜の方はWax melonとかAsh gourdという英名を用いることが増えている。 中国新疆ウイグル自治区ならびにトルクメニスタンで栽培される、細長いマスクメロンのような見た目をしたハミウリ(哈密瓜。画像下)や、主に冬期に出回る品種で、クリーム色の果皮と黄緑色の果肉を持つハネジューメロン、表面が少しごつごつして黄色いカボチャのような見た目をしたカサバメロンなどはこの系統である。 画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Whole_melon.jpg ハミウリ。わが国でもまれに「ウズベキスタンメロン」や「恐竜のたまごメロン」の名称で百貨店で出回る。食感はスイカに似てシャリシャリとしており、甘みが強い。
果実の形状は細長く、蛇に似た形状である。果実は薄緑色で、熟しても果肉に甘みはなくキュウリに似た風味である。この点はコノモン郡と近い。アルメニアで栽培されるアルメニアンキューカンバーや、かつてタキイ種苗で種子が流通していた「ちりめん細長瓜」がこの系統である。しばしばカラスウリの近縁種であるヘビウリと混同される。 画像出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cucumis_melo_flexuosus.jpg
熟しても糖分の発現がないもので、果実を野菜として漬物にして食用にする品種である。詳しくはシロウリの項を参照。
果実は小型で、球形や楕円形をしている。果皮はオレンジ色で、スイカにも似た独特の模様があって、甘い芳香を持つが、果肉は苦いため食用にはされない。食用というよりはむしろ芳香剤として使われる。ポケットメロンとも呼ばれる。わが国では観賞用の瓜としてまれに花屋で流通する。
果肉は小型で、マスクメロンを小型にしたような品種である。果実はキュウリに似た風味を持つものが多く、ピクルスにして食用にされる。マンゴーメロンがこの系統である。
マクワウリの項を参照。
画像出典:筆者の蔵書「原色図説植物大辞典」より抜粋 マクワウリに近縁の種で、現在は新潟県で栽培される。果実は真球形で、ゴルフボールを一回り大きくしたくらいの大きさである。当初は白色だが、熟すにつれて黄色味を帯びてくる。 「枕草子」の「瓜にかきたるちごの貌」の瓜は本種であるという説がある。新潟県で古くからお盆のお供えや、表面に絵をかいて遊ぶための子供のおもちゃ用として栽培されてきたが、若い果実をキュウリのように漬物で食べ、熟した果実はマクワウリほどではないものの、甘みを持つので子供のおやつとして生食される。 顔を描いて、紅や白粉をつけ、竹筒などを胴にして、紙や絹衣を着せた雛人形・姫瓜雛は江戸時代から続く風習である。
画像出典:筆者の蔵書「原色図説植物大辞典」より抜粋 ヒメウリ郡と同じく、マクワウリに近い品種である。ヒメウリとは草姿がよく似ているが、果実の形状は鶏卵型である。ただ、江戸後期の農書「成形図説」では本種と思わしき図に「ヒメウリ」の名称を当てており、両者の取り違えは頻繁に起こっていたものと推測される。現在は八丈島や瀬戸内海の島々で野生化した個体がまれにみられ、いわゆる「雑草メロン」の類となっている。江戸時代から栽培されていたものの、飯沼慾斎著「草木図説」には「味頗ル苦ウシテ不堪食」という記載がみられ、お盆のお供え用或いは観賞用として栽培されていたらしい。「本草図譜」にも解説がみられ、「鶴の子」という別名が付されている。 岡山県では乳白色で楕円形の「タマゴウリ」というマクワウリが栽培され、新潟県でも「鶴の子ウリ」という、同じく鶏卵型の白い小さなマクワウリが栽培されているものの、これらの品種はいずれも甘くて食用になるので、これらの品種と「草木図説」中の「タマゴウリ」との関係は不明である。
果実は楕円形で黄色く、表面にはスイカのような縞模様あるいはまだら模様がある。果実は熟すと割れ、果汁や甘みはほとんどなく、ぱさぱさとした食感である。蜂蜜やコンデンスミルクをかけて食用にする。八丈島や長崎県の五島列島で栽培される「ババゴロシ」*1という品種や、インドで栽培されるスナップメロンがこの系統である。
画像出典:(左)プリンスメロン/(右)キンショウメロン。いずれも西武百貨店池袋店にて撮影。 東洋のマクワウリと交雑した品種は区分が難しいので、ここにまとめた。いわゆる「マクワメロン」という通称で知られるもので、マクワの耐病性とメロンの風味を兼ね備えた有望株である。 マクワウリの一品種である「ニューメロン」とフランスの品種「シャラント」を交配した「プリンスメロン」という品種はコロンとした球形で、果皮表面は親のマクワウリ「ニューメロン」に似ている。初夏に市場に多く出回るほか、果実が小ぶりであることと、栽培がメロン類の中では容易であるため、家庭菜園で栽培もされる。また、黄マクワとスペインの品種を交配させた「キンショウメロン」は果肉の風味は片方の親のスペインの品種の特性を引き継いでおり、外皮の見た目はもう片方の親の楕円形の黄マクワに非常に似ている。 また、春から初夏に出回る「パパイアメロン」という表面が黄色と緑色の独特のマーブル模様になる品種は、金マクワとスペインのまだら模様の果皮の品種を交配したものである。
追記・修正は夕張メロンのデザートを頬張りながらお願いします。 夕張だけに