カブ(蕪、蕪靑)は、食用として栽培される作物の一種である。 葉や根を野菜として食用にする。
画像出典:(左上)自宅にて筆者撮影。筆者弟が学校の菜園で収穫し持ち帰ったもの。(右上)東京都薬用植物園にて筆者撮影。(左下)赤カブ。自宅近くの農産物直売所にて筆者撮影。(右下)日野菜カブ。根の長さは30㎝に達することも。東武百貨店池袋店にて筆者撮影。 科名:アブラナ科アブラナ属 学名:Brassica rapa var. rapa 原産地:中近東 生態:一年草 我が国への正式な渡来時期は不明だが、「古事記」にはすでに記述が見られる。やがて江戸時代には日本全土で栽培されており、明治期になって欧米の品種が導入されたさいにも、日本の在来種ならびにその改良品種が好まれ、こんにちまで残っている。 葉はヘラ型で、春になるとアブラナ科に特有の十字型の花(黄色)を咲かせる。球形の食用にされる部分は、植物学上は胚軸と呼ばれる。茎が変化したもので、本当の意味での根はその下部のひげのようなものである。 大きさによって「大カブ」「中カブ」「小カブ」と呼ばれ、現在もっとも栽培されているのは小カブの系統で、大阪で古くから栽培されている天王寺蕪等がそれである。 聖護院かぶは大カブの代表品種で、商業的な栽培はかつてに比べると減少しているが、現在はF1化させて耐病性を持たせたものもあり、優しい風味も合間って今なお人気である。京都では今でも千枚漬けに欠かせない。 根が大根のように細長くなる品種もあり、岩手の暮坪カブや滋賀県の日野菜、島根県の津田カブなどがある。日野菜や津田カブは根元が赤紫色に色づくが、日野菜は地中にまっすぐに根が伸びていくのに対し、津田カブは勾玉型である。暮坪カブにいたっては、根もとが薄い黄緑色で、一見すると小さなダイコンかと見まがう見た目である。 根を汁物や煮物にすることが多い。表皮が赤い品種は漬け物やサラダにする。現在人気がある「もものすけ」という品種は、手で皮がむけるほど柔らかく、サラダにすると名前の通り、桃のように甘いという。葉も青菜として食べることができる。 画像出典:筆者の蔵書「原色図説植物大辞典」(1938年)より抜粋。当時栽培されていたカブの様々な品種を図解してある。
画像出典:https://www.botanic.jp/plants-ka/kabu.htm 古くから京都で栽培される品種で、昔の原種は絶滅し、現在栽培されているものは明治後期に交雑したものの形質が固定化したものである。 根は白色で、倒円錐状である。葉は深緑色で、長さは30㎝。根や葉を漬物や煮物にする。特に乳酸発酵させたものは京都の特産品として名高い。