紺青とは、青色系統の色の一種である。
紫を帯びた濃い青色で、この色はフェロシアン化第二鉄を主成分とする人工顔料の「紺青」に由来する。 色自体は1704年にディースバッハという人物によってドイツのベルリンで発見されたことによる。この頃、ドイツは「プロイセン」の名称で呼ばれていたため、英名で「プルシャンブル―」(プロイセンの青、の意味)とも呼ばれる。 当時のドイツでは人気が高く、歩兵と砲兵とはこの染料で染めた青い制服を着用していたという。 そして意外なことに、この青色は我が国の美術と深いかかわりがある。わが国の文献にこの色が登場する最古の例は、平賀源内が出版した薬品の百科事典「物類品隲」(1763年)に「ベイレンブラーウ」の名称がみられることである。やがて、「ベルリンから来た藍色」ということで「ベロリン*1藍」と呼ばれ、これが短くなって「ベロ藍」の名称で呼ばれた。葛飾北斎や歌川広重は、天保の改革の中発令された奢侈禁止令により、贅沢な色合いを用いることができなくなったため、この青色を作品に多く用いた。それゆえ、「ヒロシゲブルー」の名称でも呼ばれる。 ほぼ同じ時期にフランスのパリにおいてミロリという人物がこの色素と全く同じ色素を発見したため、「ミロリブルー」の名称でも知られる。