ナンテン(南天)とは、樹木の一種である。
画像出典:(左)牧野記念庭園にて筆者撮影/(右)埼玉県川越市にて筆者撮影 科名:メギ科ナンテン属 学名:Nandia domestica 原産地:日本、中国、インド 生態:落葉低木 本州、茨城県以西から四国・九州それに中国やインドに分布する常緑低木である。山野に生える他、庭園や花壇に観賞用として植えられ、樹高は3m内外に達する。葉は三回奇数羽状複葉で互生し、小葉は幅の広い披針形で、秋には真っ赤に紅葉する。初夏に枝先に円錐花序を出して、白い極小の星形の花を咲かせる。果実は直径0.5㎝程の球形の液果で、晩秋から冬にかけて赤く熟する。園芸種には、白く実が熟するシロミノナンテン(白実の南天。黄色みを帯びているため「キミノナンテン(黄実の南天)」という別名もある)、果実はできないが紅葉した葉を観賞用にする矮性(樹高は最大で60㎝程しかない)のオタフクナンテン(お多福南天)というものがある。果実は晩秋から冬の花材として好まれ、観賞用にされる。また、不浄を清めるとされるため、かつてはお手洗いのそばにも植えられた。 葉つきの枝や果実が「難を転じる」に通じるため縁起物として季節のあしらい(季節感を出すための飾り)の材料に用いられ、生け花の材料にされるほか、日本料理に添えられることもある。葉には殺菌の効果があるため、季節のあしらいにナンテンの葉を料理に添えるというのは、ある意味で理にかなっているのである。果実は「南天実(ナンテンジツ)」という名称で咳止めに用いる。