タラノキ(楤木)とは、山菜の一種である。
画像出典:(左)タラノキ。(右)メダラ。いずれも東京都薬用植物園にて筆者撮影。 科名:ウコギ科タラノキ属 学名:Aralia elata(Miq.)Seem. 原産地:日本、朝鮮半島、中国、ロシア 生態:落葉低木 北海道から九州、およびサハリン、朝鮮半島、中国東北部、アムール、ウスリーに分布する落葉低木で、わが国の山野に生息するほか、現在は山菜ブームも相まって人家の庭で栽培されるほか、植物園に標本的に植えられることがある。 茎はあまり分岐しない。樹高は2mから6m程度で、茎や葉に鋭い棘を持つ。このため、伊勢では「おにのかなぼう」という地方名で呼ばれる(小野蘭山『本草綱目啓蒙』)。葉は枝に互生して、枝先に集まるようにして付き、傘のように広がっている。晩夏に、複数形花序をつけて黄緑色の花を咲かせる。秋には苦労小さな球形の液果を上向きにつける。変種に、鋭い棘が少なく、代わりに葉の裏に多くやわらかい毛をつけるメダラ(雌楤。f.subinermis(Ohwi)Jotani)が知られる。先ほど「人家の庭で栽培される」と述べたが、それはたいていは棘が少なく管理のしやすいメダラであることが多い。近年は同科別種のリュウキュウタラノキ(Aralia ryukyuensis)も栽培される。 タラノキもメダラも若い芽は山菜として食用にされ、さっとゆでて天ぷらや和え物、炒め物やおひたしに調理し、ほろ苦い滋味を楽しむ。樹皮は民間薬として健胃、強壮、強精作用があり、糖尿病にもよいといわれる。促成栽培されたものが12月中旬から市場や百貨店に出回る。材は軽くて柔らかく、加工しやすいことから下駄や杓子を作る。