ゾウコンニャク(象蒟蒻)とは、有用植物の一種である。 画像出典:筑波実験植物園にて筆者撮影 科名:サトイモ科コンニャク属 学名:Amorphophallus paeoniifolius 原産地:熱帯アジア 生態:多年草 熱帯アジアが原産の多年草で、わが国では植物園の温室で栽培される。 草丈は1m~2m程度になる。地下に丸みを帯びた形状の塊茎を持ち、その頂部から芽を出して、茎を直立させて成長する。 茎は多肉質な円柱状で、表面には白い斑入り模様を呈する。葉は、茎から長い葉柄を経てつくが、ほかのコンニャク属の植物同様、巨大な羽状となる。小葉は楕円状で、縁には鋸歯があり、先端部は尖る。 4月~6月頃、地下の塊茎から全長1m~2m程度の花茎を立ち上げ、その頂部に仏縁苞をつける。苞の部分は紫色を帯びた褐色で、漏斗状の仏縁苞に包まれた肉穂花序をつけるのが特徴である。開花時期は、ほかのコンニャク類同様、地上部が枯れている頃である。この時「肉が腐ったような」「人糞のような」と例えられるほど激しい悪臭を放つ。わが国でもTV番組「世界一受けたい授業」でゾウコンニャクの生態について解説するために、花を咲かせた植物体がスタジオに持ち込まれたが、あまりの悪臭に使用不能とされたという話があるほどである。 本種は、原産地の東南アジア各国では食用に栽培されている。但し、本種の塊茎にはマンナンを含んでいないため、「こんにゃく」を作ることはできない。また、塊茎にはわが国の「こんにゃく芋」同様にシュウ酸カルシウムを含んでいて生のままでは有毒であるから、蒸かすなど加熱してから食する。また、葉柄も茹でて毒抜きしてから青菜として食用にされる。わが国でサトイモの茎を「ずいき」「といもがら」と呼んで食するのと似たような感覚である。