スナバコノキ(砂箱の樹)とは、有毒植物の一種である。 画像出典:筑波実験植物園にて筆者撮影 科名:トウダイグサ科フラ属 学名:Hura crepitans 原産地:南アメリカ、中央アメリカ、西インド諸島 生態:常緑高木 北南米の熱帯地域が原産の常緑高木である。湿った土壌と部分的な日陰または部分的から完全な日向を好んで生息する。樹高は40mから60mに達する。樹皮は白みを帯びた黄褐色で、黒く尖った棘に覆われており、「モンキー・ノークライム(猿登らず)」の異名でも知られている。葉は大きな卵形または細長いハート型で、幅60cmまで成長する。主脈と支脈の走る部分がへこんでいるので、葉脈のない部分が膨らんだような見た目になる。 雌雄同株で、花弁のない赤い花を咲かせる。この花の見た目は、一見すると赤いトウモロコシかテンナンショウ類の果実を下向きにして枝にくっつけたような見た目である。果実は直径5~8cmの蒴果、16個の心皮が放射状に並んでカボチャのような見た目になる。このため、「サルノトウナス(猿の唐茄子)」の和名もある(「トウナス」はカボチャの別名)。 果実は熟すと莢が爆発し、分割されて種子が秒速70mで打ち上げられる。熟した果実は種子を放出する際に、まるで鉄砲を撃つような音を出し、しかも破片が勢いよく飛んでくるため、人や動物にこれが当たると容易に負傷する。そのため、まれにオーナメントとして出回る熟した果実は分割して飛散しないように紐で縛ってある。 樹液や果実には有毒成分が含まれるため、摂取すればひどい嘔吐や下痢を引き起こす。原住民の人々は本種の毒性を利用して古くから狩猟や魚釣りに本種の毒を用いてきた。和名の「スナバコノキ」とは、英語名のSandbox treeの和訳である。これはかつて未熟な果実を油で揚げたのち、小さな穴をあけて中に砂を詰め、インクを吸い取るための砂をふりまくための「砂箱」の原料としたことに由来する。