クロツグとは、ヤシの一種である。 画像出典:夢の島熱帯植物館にて撮影 科名:ヤシ科クロツグ属 学名:Arenga engleri 原産地:日本、台湾 生態:常緑小低木 奄美大島から沖縄、台湾、東南アジアに分布する常緑小低木で、わが国には江戸時代に渡来している。九州南部や小笠原諸島では野生化している例がみられるという。 林内に生息し、樹高は2m~4mである。葉は長さ3mにも達するもので、羽状複葉で全体は長楕円形、基部には1mほどの葉柄がある。小葉は20-40対以上で、個々の小葉は細長くて長さ25-60cmになる。初夏に黄色いブラシ状の花を咲かせ、秋に球形の果実をつけ、赤色や黄色、緑色に熟す。 和名のクロツグは、ツグ(シュロ)に似ており、幹を覆う繊維が黒いことによる。この黒い繊維を船用の網に利用し、葉を乾燥させたものを束ねて繊維として帽子を編むこともある。また、まれに新芽や若い葉が食用にされる。東南アジアでココヤシの若い芽が「パームハート」の名称で食用とされるのに似ている。