カシュウイモとは、イモ類の一種である。 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:ヤマノイモ科ヤマノイモ属 学名:Dioscorea bulbifera f. domestica 原産地:中国 生態:多年草(地上部は冬に枯れる) 中国原産の一年草で、わが国には江戸時代には渡来しており、現在は畑に栽培される。黒色でやや歪んだ球形の根茎からつるがのびて他のものに巻き付く。葉は丸みを帯びた心臓形で互生し、葉脈がはっきりしている。雌雄異株で、葉腋から出る穂状花序に細長い筒部をもつ黄緑色の雌花が咲く。 日本には雄株はないので種子はできず、根茎で繁殖させる。 葉腋に、直径2㎝ほどのムカゴをつける。江戸時代に出版された「本草図譜」や「成形図説」には解説とともに図が見られ、その頃から作物として栽培されていたことがわかる。植物学者の牧野富太郎は、著書「牧野日本植物図鑑」(1940年)で「ムカゴと根茎を煮て食用にするが、美味くない」と述べており、あくまでもその芋の味を楽しむというよりは、救荒作物としての性格が強かったものであると思われる。 近縁種のウチュウイモは直径15cmほどの、カボチャほどの大きさがあるムカゴを食用にする。このウチュウイモは、草姿がカシュウイモとほぼ同一であるため、カシュウイモの改良種であるとされる。