アマドコロとは、山野草の一種である。 画像出典:若い芽の写真は赤塚植物園にて、花と果実の写真は東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:キジカクシ科アマドコロ属 学名:Polygonatum odoratum var. pluriflorum 原産地:東アジア 生態:多年草 日本や朝鮮半島が原産地で、現在は東アジア地域やヨーロッパに分布する多年草である。原野、丘陵、山麓、尾根筋、日当たりのよい草原、落葉樹の木陰などに生息するほか、葉に斑の入る品種が観賞用として栽培されることがある。 地下に大きくて長い地下茎が伸びており、早春にはそこから円柱形の若い芽を出す。この若い芽は筆の穂策を植えに向けたような形状で、先端にやや紫色がさすことがある。葉は互生し、葉身はササに似た楕円形から幅広い長楕円形で両端がやや尖る。ふつうはは鮮やかな緑色だが、園芸品種の中には白い模様が入るものがある。4月から6月に細長い釣り鐘型の純白または白緑色の花を下に吊り下げるようにして咲かせる。夏から秋に直径1cmほどの黒みがかった青緑色の球形の果実をつける。 古くから若芽、花、地下茎が山菜として食用になり、和名のアマドコロは「甘野老」と表記し、これは根茎がトコロ(オニドコロ)のように長くて大きく、また甘みがあって食用になるため。天ぷらやおひたし、煮物や炒め物にする。古くは地下茎を酒に漬け込んで「アマドコロ酒」を造ったという。かつて漢方では地下茎を乾燥させたものを萎蕤(イズイ)や玉竹(ギョクチク)の名称で滋養強壮剤として用いたが、現在はあまり用いられなくなっている。また、根茎を擂(す)ったものは打ち身やねんざの薬として用いられる。