アオナシ(青梨)とは、樹木の一種である。 画像出典:小石川植物園にて筆者撮影 科名:バラ科ナシ属 学名:Pyrus ussuriensis var. hondoensis 原産地:日本 生態:落葉高木 我が国の群馬県以西から九州にかけて分布する落葉高木で、人里に近い山林に自生が見られる。朝鮮半島や中国東北部の町付近の山林にも生息例が知られている。 樹高は5mから10mほどとなる。葉は長さ5cm~8㎝程度の広卵形で、枝に互生する。葉の縁には細かな鋸歯があり、先端は尖る。秋には黄葉する。幹はやゝ黒味を帯びた褐色で、木が成長するとひゞ割れたような見た目となる。 4~5月にかけて、新しい枝の先に総状花序を出し、径3㎝前後の白い花をいくつか咲かせる。9月から10月にかけて、直径2cmから4㎝程の球形の果実をつける。果実はいわゆる「ナシ状果」で、黄緑色に熟すことから「アオナシ」の和名がある。果実はナシとは異なり、甘味よりも酸味が強いので生食には向かず、ジャムや果実酒にして食す。 果樹のナシ(ニホンナシ)は本種とヤマナシ(ニホンヤマナシ)が交配してできたものとされる。現在は絶滅危惧II類とみなされる貴重な種であり、保護が叫ばれる観点から、本種の利用はされなくなっていっている。・