ユウガオとは、ウリ科のつる性一年草植物である。 画像出典:果実、花のいずれもhttps://www.botanic.jp/plants-ya/yuugao.htm
我が国への正式な渡来時期は不明だが、平安時代にはすでに日本にあったものとされている。当時は熟果の中身を抜いて乾燥させ、容器とするため栽培せられたものである。我が国では滋賀県水口と栃木県で多く栽培されており、水口での栽培は豊臣秀吉がこれを奨励したと伝わっている。 元々ヒョウタンとは原種を同じくする植物であるが、栽培を重ねるにつれ、ヒョウタンの苦みが少なくなったものがユウガオであるとされる。それゆえ中国では、ヒョウタンを「苦瓢(くひょう)」と呼称し、本種を「甘瓢(かんぴょう)」と称することもある。 草姿はカボチャに似るが、植物体全体に白い産毛があり、夏になると直径8cmの白い花を咲かせる。ヒョウタンやユウガオの花は他のウリ科植物とは異なり、夕方から花を咲かせ始め、受粉は蛾などの夜行性の昆虫によっておこなわれる。この夜に花を咲かせる性質から、古くは黄昏草(タソガレグサ)と呼ばれた。 アサガオに似た形状の純白の花を咲かせる植物が「ユウガオ」の名称で流通することがあるが、植物学上の正式な名称は「ヨルガオ」であって、その植物はヒルガオ科ヨルガオ属に属する全くの別種で、用途は花を観賞用にするか、まれに若い蔓や葉を野菜として食すのみである。果実も朔果で、アサガオのそれを一回り大きくしたほどにすぎぬ。我が国には明治時代に渡来している。
果実の長いナガユウガオ(写真上)と果実の丸いマルユウガオがあり、ナガユウガオは日本各地で利用され、トウガンのように煮て食べることが多いが、まれに漬物にもする。 マルユウガオの果実、筆者撮影。 マルユウガオはフクベとも呼ばれ、干瓢の材料にするほか、果実が熟して固くなると、ヒョウタンのように中身を抜いて楽器や炭入れに加工される。 南アフリカのギロという楽器は、乾燥させたナガユウガオの果実の横に溝を彫って作られ、その溝を棒でこすって演奏する。 ただし、過去にユウガオによるククルビタシン中毒事故が報告されており、味見をして強い苦味を感じた場合、その苦味を我慢して食べることがないよう気をつけたい。