シロウリは、果実を食用にする作物の一種である。 画像出典:(上)シロウリ。/(下)「桂(かつら)瓜」。いずれも自宅にて筆者撮影
中国が原産のつる性一年草で、わが国には奈良時代にはすでに渡来している。草姿はマクワウリに似ており、葉から花にいたるまでよく似ている。古くは「ウリ」と言えば本種かマクワウリを指した。 未熟な円筒形の果実を漬物にして食用とする。学名に「var.conomon」とあるのは、「漬物」を意味する日本語の「香の物」がなまったものである。 地方ごとに様々な品種があり、普通は写真のように黄緑色だが、スイカのように深緑色の縦じまがあるもの*1、全体が深緑色の品種もある。緑色が若干濃いものを「アオウリ」(硬くしまった果肉の質が漬物に向き、また果実の形状が丸みを帯びているため「マルヅケウリ」や「カタウリ(堅瓜)」の名称もある)、黒に近い緑色のものを「クロウリ」(黒瓜)、果皮が濃い緑色で表面に縦じま模様のあるものを「シマウリ」(縞瓜)と呼称する。 果実の全長は15㎝~20㎝程であるが、京都府で古くから栽培されてきた「桂瓜」という品種(上画像二枚目)は、その2倍ほどの大きさとなる。 シロウリとマクワウリの交配を元祖とする園芸作出品種で、果実のサイズも大ぶりになりやすい「ハグラウリ(歯ぐら瓜)」も栽培されており、これは肉質が柔らかいため、歯がぐらつくような人でも食用にできるほどであるからこの名がある。普通果皮は鮮やかな緑色(いわゆる「青はぐら」)で、薄い縦溝が走ることが多い。黄緑色の「白はぐら」という品種もある。 画像出典:岐阜県で古くから栽培されてきた「かりもり」。愛知県で栽培されるアオウリの一種である。肉質が締まっていることから「カタウリ(堅瓜)」の名称でも知られる。新宿伊勢丹で撮影。 画像出典:シマウリ。福井県で栽培される「かわずうり」というウリは本種の系統である。筆者の蔵書「原色図説植物大辞典」(1938年出版、村越三千男(1872-1948)による著書)から抜粋。 画像出典:上から「白はぐら瓜」と「青はぐら瓜」。「白はぐら瓜」は池袋の百貨店にて、「青はぐら瓜」は自宅近くのスーパーにて撮影。 名称は、熟すと白っぽくなるためこの名称があるが、マクワウリと違って熟しても甘くはならない。現在は家庭で漬物を作ることが少なくなったため、シロウリの栽培も徐々に減っているが、6月、早ければ5月下旬から百貨店や大型スーパー、農産物直売所で見かけることがある。