ザボンは、果樹の一種である。 画像出典:新宿御苑にて撮影
東南アジア・中国南部・台湾が原産の常緑低木で、わが国には江戸中期(元禄年間)に渡来している。貿易船が難破して、現在の鹿児島県阿久根市に漂着し、船長の謝文旦(しゃぶんたん)から島の領主に救助のお礼として贈られたという伝説があり、別名の「ブンタン」はこの船長に由来するという。 樹高は3mほどになり、盃型の白い5枚の花弁を持つ花を咲かせる。果実は柑橘類の中でも最大となり、500gから2㎏になる。分厚い果皮とさっぱりした風味のある果肉が特徴で、果肉色は薄黄色や赤色がある。果肉は生食あるいはジュース、マーマレードにする。ただ、赤い果肉の品種は果汁が少なく、ややパサついた食感になる。 晩秋ごろから果実の出荷が始まり、甘みを乗らせるため数か月の追熟を行ってから出荷する。 牧野富太郎氏は、ザボンの系統を以下のように分類している。 ●果実は球形、果肉の色は薄黄色ないしは白→ザボン ●果実は球形、果肉の色は鮮紅色→ウチムラサキ ●果実は楕円形ないしは釣鐘型、果肉の色は薄黄色。前者2種より果実はやや小さい→ブンタン 近年はこうした区別はほとんどなされなくなっており、市場ではもっぱらブンタン、まれにザボンの名称で流通する。また、「ウチムラサキ」の呼称も、九州地方(特に福岡県)などごく一部に限られる。 画像出典:筆者が自宅にて撮影。品種名は不明だが、形状からして麻豆文旦(まとうぶんたん)という台湾の品種の系統であろう。果肉は白と赤の中間のような色合いだった 画像出典:いわゆる「ウチムラサキ」と呼ばれる品種である。池袋ショッピングパーク内の青果店で購入。
シシユズの項目を参照。
画像出典:筆者撮影(京王百貨店新宿店) ザボンの中でも果実が最大の品種で、直径は20㎝で、果実の重さは2㎏内外である。わが国には大正時代末期に植物学者の島田弥市?がベトナムのサイゴン市から持ち込んだのが始まりだが、栽培方法が確立されたのは1930年代である。現在は熊本県八代市のブランド品となっている。利用方法はザボンに同じ。
画像出典:https://www.photo-ac.com/main/search?exclude_ai=on&personalized=1&q=%E5%BC%93%E5%89%8A%E7%93%A2%E6%9F%91&pp=70&qid=&creator=&ngcreator=&nq=&srt=dlrank&orientation=all&sizesec=all&color=all&model_count=-1&age=all&mdlrlrsec=all&prprlrsec=all&qt=&p=1&pt=A 果実がやや細長くなる珍しい柑橘類で、ザボンの近縁種であるとされる。爽やかな香りとほんのりした苦味があり、それでいてしっかりと甘みものっているのが特徴である。詳しい来歴はよくわかっていないが、昭和初期に台湾から持ち込まれたといわれる。ただし、わが国と台湾では気候が違うためか、あまり普及しなかったという。
画像出典:池袋ショッピングパークにて筆者撮影 江戸時代末期(安政年間)に芸州藩(広島県)因島の岡野末吉氏の園地に蒔かれた種より偶発的に生まれたと伝えられている柑橘類である。明治期になって発見された時期から「安政柑」と命名された。果実の直径は15㎝~20㎝になり、果重は1㎏内外に達する。バンペイユ(上述)に次いで果実の大きい品種である。