ユズは、柑橘類の一種である。
画像出典:(左)自宅近くの垣根を撮影(右)自宅近くの園芸店にて撮影 科名:ミカン科ミカン属 学名:Citrus junos 原産地:中国 生態:常緑低木 中国揚子江原産の常緑低木で、わが国には大和朝廷時代に渡来している。樹高は4m~6mほどで、春に紫色を帯びた白色の星型の花を咲かせる。果実は直径7㎝程度のやや扁平な球形で、表面はやや凹凸がみられる。果実は当初は緑色で、大きくなるにつれ鮮やかな黄色に変色する。未熟果、いわゆる「青ユズ」(写真左)は、果皮をすりおろしたものや果汁を焼き魚の風味づけに用いる。熟したもの、いわゆる「黄ユズ」(写真右)は熟しても酸味が強いので、生食はされず田楽などの薬味として、また福島県の郷土菓子であるゆべしやジュース・アイスクリーム・酒類の風味づけ、七味唐辛子や五香粉(ウーシャンフェン)の材料として使われる。また、和食の盛り付けとして、果実のうち果肉の部分をくりぬいて器状にしてから膾(なます)などを詰めた「柚子釜」にすると見た目がよい。近年は果実が一回り大きく、香りや質の良い「木頭ユズ」という品種が人気である。 画像出典:筆者撮影。木頭ユズの写真である。 現在でも続く風習として、冬至の日の夜にユズの果実を湯船に浮かべ、入浴する「ユズ湯」というものがある。これは、体の血行を良くし、風邪をひきにくくする効果があるといわれている。 なお、果実が小型でユズに似た樹形や果実が特徴のハナユという樹木があり、わが国の園芸店ではこのハナユをユズの一種としてみることがあるが、実際はそれぞれ別種である。 わが国では「柚」「柚子」と表記するが、中国で「柚」「柚子」はザボンを意味する。本種を指して言う場合は、「香橙」と表記する。
画像出典:https://staff.fukuoka-edu.ac.jp/fukuhara/keitai/kizu.html 「福原のページ(植物形態学・生物画像集など)」より抜粋。 佐賀県、福岡県にのみ分布する香酸柑橘類で、ユズの偶発実生ではないかと推測されている。若い果実(青切り)の果汁をポン酢の代わりに用いることから、「木の酢」が訛って「木酢(キズ)」となったといわれる。種子が少なく果皮が薄いことと、果汁が多いのが特徴である。
画像出典:自宅にて筆者撮影 和歌山県東牟婁郡北山村の山中で発見された柑橘類で、ユズに非常によく似た果実を実らせる。片親は不明だが、もう片方の親はユズやクネンボではないかと推測される。香気と酸味がユズ以上に強く、現在は花粉症予防に効果がある可能性の高い成分が発見され、その成分を抽出したサプリメントや生の果実が健康食品として流通する。和名は「邪払」という字を当て、「邪気を払ってくれるほど体に良い」という意味である。