スイカ のバックアップ(No.12)

スイカは、果実を食用とする植物の一種。
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画像出典:いずれもhttps://botanic.jp/plants-sa/suika.htm

科名ウリ科スイカ属
学名Citrullus lanatus
原産地熱帯アフリカ
生態一年草

熱帯アフリカを原産地とする植物。ウリ科の植物の中でも葉の切れ込みが大きく、茎は蔓状で細かい毛に覆われ、巻きひげを出して他のものに絡みつく習性がある。
夏になると直径2cmほどの黄色い花を咲かせ、開花から1ヶ月強の完熟した果実を生食する。果皮の色は様々で、鮮やかな緑地に黒緑色の縦縞の入るもの、果皮全体が黒緑色になるもの、鮮やかな黄色地にオレンジ色の縦縞が入るもの、鮮やかな緑地に縦縞が薄く入るものがある。果肉の色も赤色や黄色がおおく、珍しいものでは若干黄色みのある白色やオレンジ色のものがある。


和名は中国名の「西瓜(シーグァ)」が訛ったもので、漢名の西瓜は「西域の瓜」という意味である。最初の記録は、北宋時代の人物・胡嶠(こきょう)が捕虜として契丹に二年間滞在した際の見聞録『陥虜記』に「契丹がウイグルを破った際に種子を持ち帰った。牛糞を施肥して、棚を作って植える。中国の冬瓜のように大きく、味は甘い」とある。
我が国には室町時代に渡来したとされ*1、果皮が無地の黒緑色のものが多く栽培されていた。江戸時代頃にはスイカの消費が盛んになるが、現在のように果肉の甘みを楽しむわけではなく、喉の乾きを癒やすためのものであった。江戸時代前期の百科事典「和漢三才図会」によれば、甘みが薄いため砂糖をかけて食すもので、あまり人気がなかったという。水分を多く含んでいるから、当時の利用法としては、現在でいうところのスポーツドリンクのようなものであったろう。現在ではほとんど見かけなくなったが、「和漢三才図会」や「成形図説」にはカボチャのようにやや扁平な形状のスイカの図がみられる。
明治時代になってから、欧米諸国の優良な品種が導入され、現在の甘みの強いスイカの原型がほぼ出来上がっていた。現在市場で見かける品種で鮮やかな緑色時に黒緑色の縦縞が入るものは大正時代〜戦前にかけて栽培が一気に広まったものである。


果実は熟したものを生食する他、果汁をジュースやゼリーにしたり、果皮に近い白色の部分を和え物にして食べることもある。1個の果実に栄養を集中させるために摘果した若い果実をウリのように漬物にすることもある。「源五兵衛」という品種が奈良漬け加工用に栽培される。
また、スイカに表皮がそっくりなシトロンウリというものがある。シトロンウリの果肉は熟しても白いままで、種子は赤い。水分ばかりが多くて甘みがほとんどなく、酸味があるので、ジャムにするという。わが国にはスイカの一品種としてフランスから導入された*2ものの、現在に至るまでほとんど普及していない。
果肉をどろどろに煮詰めたスイカ糖は利尿薬として利用される。種子も炒って食べることができ、中国では種子専用の品種が作られているという。
市場でスイカを買う際、指で軽くはじいた際の音で判断するとよいといわれる。「ポンポン」と澄んだ音がすればよく熟しており、「ピンピン」という高い音であればまだ十分には追熟されておらず、「ボテボテ」という鈍い音であれば熟しすぎである。


種なしスイカという品種がある。これは、食べながら種子を吐き出すという煩わしさを解消するためのもので、種子ありスイカの花粉にイヌサフランから抽出したコルチヒンという成分を付着させ、種子を作る能力をなくしてしまうのである。
こうして受粉させたものは種なしスイカになるのだが、果実ができる時期が遅れるため果実の形状が歪んだり、果実が小さくなったり、味が薄くなるなどのデメリットが目立ったため、一時的に人気が弱まった。現在では試行錯誤の末、種無しでも食味が良かったり、果肉の形状が歪まない品種が作出され、市場にも出回り始めている。

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*1 時期としては南北朝の動乱期や南蛮貿易が始まった頃など、様々な説がある
*2 明治時代の植物図譜「植物集説」(東京国立博物館所蔵)に図が見られる

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