アブラナは、有用植物の一種である。 画像出典:https://iiif.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/repo/s/agriculture/document/5bfde8bf-0b54-7848-97d6-1ee30cf9a645#?c=0&m=0&s=0&cv=42&xywh=948%2C2163%2C2132%2C1645 有用植物図説(東京大学農学生命科学図書館コレクション所蔵)より改変 画像出典:自宅近くの植込みにて筆者撮影
中国から渡来し、わが国では種子から油をとるために栽培される一年草である。在来種を二ホンアブラナ、江戸末期~明治期以降に中国に導入された品種をウンタイアブラナvar.nippoleifaと呼んで区別することがある。葉はなめらか。草丈は0.5~1m。 春に花を咲かせ、花弁は長さ1㎝ほどである。花ののちに細長い莢状の果実をつけ、熟すと裂けて黒褐色の種子をばらまく。この種子からとった油が菜種油、いわゆるキャノーラ油と呼ばれるもので、かつては灯火用に用いられ、現在は料理用油や機械油として用いられる。ただし、現在採油用として栽培されるものはセイヨウアブラナ(B. napus)の利用がほとんどを占めている。また、間引いた若い苗や花のつぼみも野菜として食用にすることができる。 セイヨウアブラナもまた同様に若苗やつぼみが食用になり、江戸時代から現在の埼玉県から東京都に該当する地域にて栽培されてきた「のらぼう菜」が代表的品種である。こちらは現在東京都あきる野市や西多摩地区、埼玉県飯能市で栽培される。葉は不規則な鋸歯があり、鮮やかなやや黒みを帯びた緑色である。花茎は寒さにあたってやや紫色っぽくなることがあるが、品質に影響はない。また、岡山県や広島県の一部で栽培される「カブレ菜」はのらぼう菜に似ているが、葉の切れ込みがそちらより細かくなる点で区別できる。 画像出典:セイヨウアブラナ。東京都薬用植物園にて筆者撮影 セイヨウアブラナの一品種「のらぼう菜」。東京都薬用植物園にて撮影。 花は花材に用いられることもあり、葉が縮緬状になる品種が「寒咲きナタネ」の名称で流通する。冒頭の2枚目に掲載した写真がそれである。
画像出典:https://botanic.jp/plants-ma/mana.htm ボタニックガーデン「まな」のページより引用。 中国が原産の品種で、わが国には江戸時代に渡来し、現在は各地で栽培される。大阪府豊能町で栽培されている丸葉系の「高山真菜」や、奈良県北西部で栽培されている切葉系の「大和真菜」などの品種が有名である。漬物や炒め物、おひたしや汁物の具材とする。
画像出典:池袋ショッピングセンターにて筆者撮影。 北関東で古くから栽培されてきた青菜で、植物学上はニホンアブラナに近い種である。成長中の植物の若芽を掻き取って食用とする事からこの名で呼ばれ、万葉集の第十四巻の東歌、「上野佐野の茎立折りはやし」に登場する。 「可美都氣野 左野乃九久多知 乎里波夜志 安礼波麻多牟恵 許登之許受登母(かみつけの さののくきたち おりはやし あれはまたむえ ことしこずとも)」に登場する「左野乃九久多知(佐野の茎立)」と呼ばれる野菜は本種ではないかと推測されており、その推測が正しければ1000年以上の歴史を持つ野菜である。漬物や炒め物、天ぷら、あえ物、おひたしや汁物の具材とする。