ノカンゾウとは、山菜の一種である。 画像出典:赤塚植物園(板橋区)にて筆者撮影 科名:ススキノキ科ワスレグサ属 学名:Hemerocalis fulva.L.var.disticha 原産地:日本 生態:多年草 本州、四国、九州の原野や溝のそばなど、やや湿り気のある場所に生息する多年草で、わが国以外にも中国での発見例がある。 根は赤みの強い褐色で、時に先端が多肉状になる。夏に、高さ70㎝ほどの花茎を伸ばし、先端が二又に分かれ、それぞれに直径7㎝ほどのユリに似た橙色の花を数個咲かせ、下から順に上向きに開く。 開花直前の花を干して利尿・消炎薬とするほか、乾燥したものを水でもどして干し野菜として食用とする。中華料理の食材で「ユリの花」として売られているのは本種である。中国では本種(ノカンゾウ)やその基本種であるホンカンゾウ(var.fulva。画像下。中国が原産で、わが国には自生していないが、花を観賞するために植物園に植えられることがある。わが国の気候にも順応し、露地栽培される)やヤブカンゾウのつぼみを「金針菜(キンシンサイ)」の総称で利用する。わが国ではこれまでは干したものしか流通していなかったが、近年は輸送技術の発達により、生のつぼみも流通するようになった。 画像出典:ホンカンゾウ。東京都薬用植物園にて筆者撮影。
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画像出典:福岡県筑紫野市にて筆者撮影 草姿はノカンゾウと非常によく似ているが、花期が異なり、晩夏から秋にかけて花を咲かせる。常緑性の多年草で、わが国には九州南部および南西諸島に自生する。 沖縄県では健康野菜として商業的に栽培されており、「クワンソウ」、「クヮンソウ」、「カンソウ」、「グワンソウ」、「ガンショウ」、「クワンシヤー」、「ガンソウ」、「ハンソウ」など様々な呼び名がある。 「ニーブイカンゾウ」と呼ぶこともあるが、この「ニーブイ」とは琉球方言で「眠い」という意味で、睡眠改善作用のあるオキシピナタニンを含んでおり、食すとたちどころに眠気を感じることによる。 若い芽を煮込みなどで食用にするほか、睡眠の質の改善のためのオキシピナタニンを抽出したサプリメントを利用する。