ツバキは、樹木の一種である。
画像出典:(左)小石川植物園にて筆者撮影/(右)東京都千代田区四ッ谷にて撮影 科名:ツバキ科ツバキ属 学名:Camelia japonica 原産地:日本 生態;常緑高木 日本原産の常緑高木で、樹高は10mほどになる。本州以南に普通に自生するが、主に太平洋側に分布する。植物学上は「ヤブツバキ」の名称で呼ばれることが多い。葉は長さ6㎝~10㎝ほどの楕円形で先端がとがり、光沢があって硬く、厚みがある。初冬から春にかけて、枝先に横向き或いは下向きに直径5㎝ほどの花を咲かせる。花弁は5枚ないしは6枚で、花色はふつう紅色だが、白色や紅色の斑入り、八重咲など多くの園芸品種がある。果実は直径3㎝~4㎝の球形の蒴果で、熟すと裂けて数個の種子が落ちる。種子は長さ2㎝で黒褐色で硬く、多くの油を含んでいる。この種子から油を搾ったのち、上質の食用油とするほか、化粧用や整髪用油とする。含油量は全体のおよそ60%で、「椿油」の名称で流通する。 また、稀に花やつぼみを摘んで花びらをほぐし、てんぷらや酢の物にするという。近縁種のトウツバキやサザンカも同様に花を食用にすることができる。 近縁種のサザンカが花びらが徐々にほぐれてばらばらになって散っていくのに対し、本種はポトリと茎から外れるため、武家社会ではこれが「斬首を想起させる」として忌み嫌われ、武家屋敷の庭に植えられることはなかったという言い伝えがあるが、実際はいわゆる俗信に過ぎず、普通に観賞用として植えられていたという。 なお、「椿」の漢字を当てることが多いが、本来この字はセンダン科のチャンチン(香椿)に当てていたもので、さらにさかのぼれば中国の伝説上の聖木に当てていた字である。したがって、わが国のツバキは花の見た目から、本来は「海石榴」という字を当てるのが正しい。
画像出典:牧野記念庭園にて筆者撮影。品種は「初雁」というもので、「昭和侘助」とも呼ばれる。 ツバキの園芸品種の中で、樹高が10m程度になるところは普通種と変わらないが、花が小型であまり開かない、花期が比較的早く3月ごろにはほゞ花が散ってしまう、子房に毛が生えている、種子をつくらないなどの特徴を持つ品種群である。桃山時代の茶人・千利休宗易が愛好したといわれ、早春の茶の席には欠かせない切り花となっている。
画像出典:自宅マンション下の花壇を撮影 11月~4月頃にかけて枝先の葉腋から直径7~9㎝程度の一重の花をつける。樹高は1m~3m程度の常緑低木となる。雄しべや雌しべは大ぶりだが、柄は白くて先端のみ黄色。つぼみの座り方が江戸時代初期の文化人・本阿弥光悦の焼き物「不二山」に似ていることからこの名があるとされる。同じくツバキの園芸品種の『窓の月』は非常に似た見た目をしているが、こちらは薄い黄色い斑が入る点で区別するが、遠目からは見えにくい色合いであるためか、同種とする見方もある。