トロロアオイとは、有用植物の一種である。 [添付] 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:アオイ科フヨウ属 学名:Abelmoschus manihot 原産地:中国 生態:一年草(原産地では多年草) 別名:花オクラ 中国が原産の一年草で、わが国には江戸時代には渡来し、栽培されていたという。 草丈は1mから2mほどになる。葉は長い柄を持ち互生し、掌状となり、5つから9つに裂け、先端がとがる。花はオクラのそれに似ており、花弁は薄い黄色で、中心部は濃いあずき色になる。朝に開き、その日の夕方に閉じてしまう「一日花」の性質である。 果実はいわゆる蒴果で、全長は5㎝、先端がとがり表面には柔らかな短毛を密生し、オクラに似た形状である。 古くは根から粘着質な液体をとり、和紙を漉くための糊に用いた。その粘性がヤマノイモのすり下ろしたものに似ていることから「トロロアオイ」の名称で呼ばれる。漢方の世界では「黄蜀葵根(オウショッキコン)」名義でのどの腫れや痛みを抑えるのに用いる。 現在は花を観賞用にするために庭や植物園に栽培するほか、花のつぼみを野菜として食用にする。つぼみはてんぷらにするとオクラのようなぬめりがあるので「花オクラ」という名称で呼ばれる。ちなみに、果実は若いものでも固すぎて、かつ味も悪いから食用にはしない。