トケイソウ(時計草)とは、園芸植物の一種である。 [添付] [添付] 画像出典:いずれも東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:トケイソウ科トケイソウ属 学名:Passiflora caerulea 原産地:ブラジル・ペルー 生態:常緑つる性木本 ブラジルやペルーなどの南アメリカ大陸が原産の植物で、我が国には江戸時代中期に渡来し、それ以来園芸植物として栽培されている。 「草(ソウ)」とつくが、実際は常緑の蔓性の木本植物で、幹では巻き付かず、葉腋から伸びるつるで他物に巻き付いてよじ登る。幹は成長するにしたがって太くなっていき、木質化する。葉は互生する。 春から初秋にかけて溶液に花を咲かせる。花は5枚の花弁と蕚片からなり、放射状に配置され、和名のように時計のような見た目となっている。花の中心の雌蕊は、先端が3つに分かれている特徴的な形をしている。開花後に楕円形のオレンジ色の果実を実らせるが、気候の特性上、わが国では結実する頻度はそう多くないという。一応食べられないことはないが、クダモノトケイソウなどの食用専用種と比較すると味は落ちるので、積極的には食用にしない。 英名の「パッションフラワー(Passion flower)」でも知られるが、これは「情熱の花」ではなく、「受難の花」という意味である。これは、イエズス会の宣教師たちがこの花を布教に利用した。彼らは花の子房柱を十字架、3つに分裂した雌蕊をイエスの腕に打たれた釘、副冠をイエスがかぶせられた茨の冠、5枚の花弁と萼を10人の使徒、巻きひげをムチ、葉を槍に例えたのである。 そうしたことから、本種の花言葉が「信心」「信仰」「聖なる愛」となったのである。