タバコとは、し好品植物の一種である。 [添付] [添付] 画像出典:東京都薬用植物園にて筆者撮影 科名:ナス科タバコ属 学名:Nicotiana tabacum 原産地:南米 生態:多年草 ボリビアやペルーなどの南米の熱帯地域が原産で、わが国には桃山時代に南蛮貿易の折に導入されたという。茎は直立し、草丈は1mから1.5mほどになる。葉は大きな楕円形で長さは30㎝程になり、先端がとがってその表面には綿毛が密生して互生する。夏に、茎の頂点に総状花序をつけ、薄い桃色の五角形の筒状の花を咲かせる。 葉にはニコチンを含み、喫煙のため古くから現地人が本種の葉を乾燥させ、これを利用していた。1518年にスペインの宣教師が現地に訪れた際に本種の種子や乾燥させた植物体を採取し、これを故郷に持ち帰って紹介してからはあまねく利用されるようになった。 しかし、このニコチンは依存性があり、一時的には陶酔をもたらすが、一度味を覚えるとなかなかやめられないという弊害がある。また、発がん性を含むため、健康被害が出ている。これは喫煙者の摂取する主流煙のみならず、喫煙者の周囲の喫煙しない人々にも副流煙が健康に影響を及ぼすことがあるため、現在は公共の場で禁煙となっている箇所が増えている。 本種を免許を習得しないで栽培することは違法となっているので、生きた植物体を見ることが難しくなっている。しかし、本種に近縁のハナタバコ(Nicotiana x sanderae)は民間向けに種子や苗が栽培されている*1ので、観賞用として栽培することができる。ただし、観賞用に流通するものであったとしてもタバコ類の葉からタバコを自作しようとするのは違法なので、絶対に試さないこと!