スイゼンジナ(水前寺菜)とは、野菜の一種である。
画像出典:(左)東京都薬用植物園にて筆者撮影。/(右)東京都東大和市にて筆者撮影。 科名:キク科サンシチソウ属 学名:Gynura bicolor 原産地:東南アジア 生態:多年草 タイや中国南部が原産地ではないかとされる多年草である。わが国の各地で野菜として栽培され、古くから栽培されている熊本県周辺での水前寺菜(スイゼンジナ)、石川県での金時草(キンジソウ)、愛知県での&ruby(シキブソウ){式部草}、沖縄県や鹿児島県での「ハンダマ」など、さまざまの呼び名がある。 草丈は40㎝から60㎝となる。茎や葉は柔らかく、全長10㎝ほどの葉は先端の尖る長楕円形で、周囲にはまばらな鋸歯がある。葉の両面に鈍い光沢があり、表面は鮮やかな緑色だが、裏面は紫色である。 夏に、黄色またはオレンジ色の小さな頭状花を咲かせるが、果実並びに種子ができない。このため、栽培する場合は株分けで殖やす。切り取った茎の付いた葉を土に差し込んでおけばそこから発根し、「苗」を作ることができる。 葉と茎の先端部を野菜として食用にする。おひたしや天ぷら、汁の実や酢の物にして食する。ゆでるとぬるりとした食感になるのが特徴的である。ゆでる際に煮汁が紫色になることがしばしばあるが、これは葉の裏面の紫色を構成する色素のアントシアニンが出たものである。カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分などの栄養素も豊富に含まれているので、近年は健康志向ブームも相まって家庭菜園でも栽培される機会が増えている。