サルトリイバラとは、山野草の一種である。 [添付] [添付] [添付] 画像出典:花の画像は赤塚植物園(板橋区)にて撮影、若い果実と蔓、冬枯れの蔓と熟した果実の写真は東京都薬用植物園にて筆者撮影。 科名:サルトリイバラ科サルトリイバラ属 学名:Smilax china 原産地:北海道~九州、朝鮮、中国、インドシナ、フィリピン 生態:落葉つる性木本 わが国の各地や台湾、朝鮮半島、中国に分布する。山野に生えるほか、観賞用のため庭園に植えられることもあるつる性の落葉低木である。ただ、植物学上は厳密には草本とも木本ともとらえられる半低木という扱いで、樹木図鑑と野草図鑑の両方に記載される場合がある。これは、葉が落ちた後の茎が枯れずにそのまま残る点では木本植物の性質を思わせ、次の年にその地上の茎からまた芽が出るという点でも木本植物のようだが、木部が形成されないため、草とみなすこともできるのである。 樹高は70cmから200㎝以上となり、まばらに棘がある。この疎らな棘を、猿がこの木に登った際に足を取られる様子を想像して「サルトリイバラ」という和名がある。 葉は丈夫な革質で、茎に互生し、丸い形状で先端がやや短く尖っている。雌雄異株で、初から初夏に散形花序をだして花を咲かせ、真夏から秋に直径7㎜から9㎜程の真球形の果実を連ねた果序を見せる。 果実の色は最初は緑色だが、秋に熟す際に真赤色に変色する。 若い葉は山菜として軽くゆでてからおひたしやあえ物、炒め物にする。熟した果実は甘みがあって生食するほか、酒に漬け込んで果実酒にする。西日本では本種の葉を餅を包むのに用いた。 本種と同属の植物である中国原産の土茯苓(ドブクリョウ)の別名である「山帰来(サンキライ)」という名称でも呼ばれることもあり、土茯苓(ドブクリョウ)と同じように梅毒の治療薬とすることがある。この名称の由来は「梅毒を患って山にこもっていた人が、この草で作った薬を飲んで病状が回復し、山から帰って来た」という言い伝えに由来する。