コシアブラ(漉油、金漆)とは、樹木の一種である。 [添付] 画像出典:『四季の山野草』の「コシアブラ」のページから。 科名:ウコギ科コシアブラ属 学名:Chengiopanax sciadophylloides 原産地:日本 生態:落葉高木 我が国に固有の樹木の一種で、本州~九州の各地に分布する。山地に生息し、樹高は10m~15mほどとなる。枝および樹肌は灰色を帯びた白から灰色を帯びた褐色で、ほぼ平滑である。 タラノキ然り、ウコギ然り、ハリギリ?然り、ウコギ科の樹木は概してトゲが多いのだが、本種は幹や枝にほとんどトゲがないことで知られる。 葉は五出掌状複葉で、長い葉柄がある。8月から9月にかけて、長い花柄の先の散形花序に淡い黄緑色の花を咲かせる。花を咲かせ終わったのち、秋には直径5㎜程度の球形の果実をつけ、熟すると黒紫色に変色する。 和名は「漉し油」の意味で、これはかつて樹液を漉して塗料に使ったことに由来している。中国名の「ゴンゼツ」でも知られ、これは「金漆」と表記し、やはり樹液の用途に基づく。 山菜としても知られており、4月から5月(高冷地では5月から7月上旬)に特有の芳香を放つ若い芽を食用にする。生のままで天ぷら(精進揚げ)にするほか、さっとゆでて炒め物やあえ物、煮物にして食す。 木材は器具、箸、楊枝などにされる。枝は、皮をこするときれいに抜け、芯と皮とが分離する。昔、里山に住む子供たちはこの性質を利用し、「刀の木」と呼んで本種の枝をおもちゃにして遊んでいた。